「桜のトンネル」台風で9割被害 京都の名所「背割堤」

満開になり見頃を迎えた背割堤のソメイヨシノ。左は木津川=2017年4月10日、京都府八幡市(寺口純平撮影)
満開になり見頃を迎えた背割堤のソメイヨシノ。左は木津川=2017年4月10日、京都府八幡市(寺口純平撮影)【拡大】

  • 満開を迎えた背割堤の桜並木=10日午後、京都府八幡市(寺口純平撮影)

 平成30年9月の台風21号で桜並木約240本の9割が被害を受けた花見の名所・背割堤(せわりてい)(京都府八幡市)をめぐり、桜の保護や苗木の植樹に活用しようと、八幡市や国土交通省淀川河川事務所などでつくる「背割堤さくらまつり」実行委員会が寄付を募っている。祭りは3月30日~4月7日の日程で今年も開催する予定で、担当者は「被害から立ち直る桜の姿を見てもらいたい」と話している。(小川恵里子)

 木津川と宇治川、桂川の合流点にある背割堤では、約1・4キロにわたり約240本のソメイヨシノが並び、満開となる4月上旬頃には名物の「桜のトンネル」を散策しようと毎年40万人以上が訪れる。

 しかし、台風21号により、約230本の枝が折れる被害を受け、うち約20本は根元から倒れるなどした。同事務所の担当者は「昭和53年の植栽以降、最大級の被害だった」。被害の大きさに、さくらまつり開催や残った桜の開花の可能性について問い合わせが相次いだ。

 背割堤は一部エリアを除き閉園され、折れた枝や木の撤去作業が終了した昨年11月に全面開園にこぎ着けた。さくらまつりについても「残った桜が頑張って咲いてくれるだろうし、中止という選択肢はなかった」(担当者)と正式に開催を決めた。

 さらに被害にあった桜の保護、育成や、新たな苗木の植樹費用などに充てるため、12月には「背割堤さくら保護・育成基金」を創設し、寄付を募りはじめた。

 倒木の切り株周辺など立ち入り禁止区間は現在も残ったままだが、被害を受けたソメイヨシノも回復に向かっており、すでに芽吹き始めた木もある。

 担当者は「桜の本数が減った分、これまでよりも全体のボリュームは小さくなるが、例年通りピンクの帯を楽しむことはできるのでは」と話す。

 基金への寄付は、背割堤近くの展望施設「さくらであい館」(075・633・5120)などで受け付けている。