生保は実は大地主、大阪も活況のオフィスビル でも増やせず…資産構成でジレンマ (2/2ページ)


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  • 住友生命保険が保有する中之島セントラルタワー(中央)
  • 御堂筋から臨むキタのビル群=大阪市中央区(本社ヘリから、志儀駒貴撮影)

 大阪に本社を構える住友生命保険も事情は同じだ。中之島セントラルタワー(大阪市北区)など、同市内に14棟の保有物件がある。9月末時点のオフィス空室率は約1%という。住友生命保険の藤村俊雄運用企画部長「過去最高の低水準だった、リーマン・ショック前の平成20年3月末と同水準に近い」と話す。

 リスク対応の資産構成

 ただ、不動産市況が活況にある中、生保には喜んでばかりもいられない事情がある。すでに保有物件は満室状態。物件高騰などで新たな物件の取得が難しい上、生保の事業構造上、不動産の資産構成比を大きくしづらいためだ。

 加入者からの保険料を預かり、予定利率を載せて保険金を支払う生保は、安全な資産構成や運用が求められる。各社は日本国債、海外国債をメインとしながら、株式、融資、不動産でリスクを考えた中でバランスよく分散投資をして資産運用に取り組んでいる。

 足元で高い利回りを抱える不動産だが、生保各社はバブル崩壊以降の約20年間は投資先として減らしてきた経緯がある。特に株式や、不動産は価格変動リスクの高い資産として段階的に大きく減らしてきた。このため不動産で新しい物件の取得はあっても、他の物件を売却するなど保有物件を入れ替えることで資産構成の不動産比率を慣習として高めないようにしてきた。

 日本生命は不動産投資について、「当社として成長新規領域への投融資の強化に取り組みたい」と話す。今後は、オフィスビルに代わる物件として、大型物流施設などの投資にも着手している。当面は不動産活況の恩恵を享受しつつ、次の方策を探っている。