【ミラノの創作系男子たち】他社のデザインには興味なし 「良いバッグは何年も売れ続ける」 (1/3ページ)

 デザイナーとは日常の何気ないところで色々と工夫を試みる人種である。(安西洋之)

 リナルド・ガンバリが、自宅からオフィスまで歩いてくる際「工夫をしている」と話した。てっきり、発想法でよくある、日々通勤路を変えて違ったことに出会う可能性を増やす努力を指していると思った。しかし、彼の工夫は歩く姿勢、つまり重心のかけ方や足の運び方を指しているのだった。

 「わざと片方の肩を落として歩いてみるとかね。そうすると無理な姿勢とは何なのかが分かったりするのだよ」

自社のバッグに囲まれたリナルド(C)Gambari Milano

自社のバッグに囲まれたリナルド(C)Gambari Milano

 このように極めて研究熱心だ。

 現在50代半ばのリナルドはプロダクトデザイナーだが、20代は家業のかなりの規模の金属を扱うメーカーの経営の一端を担っていた。

 しかしながら、他社の手によって潰されるとの悲哀を味わいすべてを失う。そこで、かつて好きだったデザインを学び直そうとミラノ工科大学に入学する(実は、この連載のこれまでの登場人物は偶然ながら、すべてミラノ工科大学の卒業生だ)。卒業したのは30歳だ。

 卒業後、建築空間と時計などのプロダクトの両方をデザインしているなか、数年前、自らのバッグブランドを作り、自身で内装も設計した店で販売する。自分のデザインしたモノに対して、比較的に短い時間で反応が戻ってくるのに惹かれたらしい。

 ただ、彼はバッグをファッションアイテムとは考えていないので、年2回新作を発表するとのパターンはとらず、奇抜な表現にも与しない。

 「良いバッグは何年も定番として売れ続ける」と、その理由を説明する。お客さんは、名の知れたブランドとは距離をとりたい人が多い。本人がそう意識しなくても、結果的にこれ見よがしになってしまうのを避けたい人に違いない。

彼はバッグをどうデザインするのか?