【ゆうゆうLife】家族がいてもいなくても(586)

 ■自己完結で生き抜く技術

 近頃、東洋医学に関心が向いている。

 というのも、昨年の秋、足が痛くなったときにしんきゅう師の先生に、お灸(きゅう)と鍼(はり)とマッサージをしてもらったら大成功。

 原因の分からない痛みが消えて、すっと足がラクになった。お灸も鍼も、この時が、私の人生の初体験。たちまち東洋医学というものに親近感を抱いてしまった。

 とは言っても、東洋医学の何たるかを知っているわけではない。しんきゅう師への親近感が、そのまま東洋医学への信頼になったわけで、自分の単純さを示しているだけのこと。

 けれど、それ以来、お灸や鍼の施術で月に1度、私は自分の身体のメンテナンスをしてもらうことになったのだ。

 そうなって思い出した。40代の頃、腕が上がらなくなり、しんきゅう師のもとへ行き、がちがちに凝った肩と慢性的な片頭痛を訴えたことがあった。

 その時は、肩も凝りすぎ、頭皮も固すぎて鍼が刺せない、と言われた。技量のない人だったのか、危険を感じたのか、意味が分からないまま、施術が受けられなかったことがあった。

 当時は、仕事と子育てと親の介護の、いわば三重苦時代。人のお世話だけでいっぱいいっぱい。自分の身体のことなど考える余裕はなかった。

 そんな私が、ようやく、自分で自分をいたわる余裕ができたのだから、これほどのシアワセはない。

 しんきゅう師のサトウさんの施術を受けながら、その心地よさに、言いしれぬ癒やしを覚えるのだ。

 しかも、彼女は私と同じシングルマザー。「え~っ、あなたもなの? 子供を自立させるまで大変だったよねえ」などと、一緒にしみじみしたりして、母子家庭同士は、すぐに親しくなる。

 しかも、彼女は私同様、今はじけているらしい。

 つい最近、大型バイク、通称ナナハンを思いきって手に入れたとか。それで女1人、ツーリングに出かけるというから、「スゴイやつ」と、仰ぎ見る思いになる。

 先日は、彼女の主宰する「お灸カフェ」に出かけ、アンチエイジングの話や、自分でお灸をするときのツボなどを学んだ。

 そう、自分メンテナンス。

 自分を守るのは自分。できるだけ自己完結して生き抜く技術をひそかに習得したいなあ、と思う。(ノンフィクション作家)