働き方改革と食品ロスに主婦目線で挑む 100食限定の「佰食(ひゃくしょく)屋」 (1/2ページ)

100食限定でメニューを提供する佰食屋(ひゃくしょくや)。中村朱美社長は「完売したら家に帰れると思うと、従業員のモチベーションも上がります」=京都市右京区
100食限定でメニューを提供する佰食屋(ひゃくしょくや)。中村朱美社長は「完売したら家に帰れると思うと、従業員のモチベーションも上がります」=京都市右京区【拡大】

  • 「佰食屋(ひゃくしょくや)」のステーキ丼。食べ応えも十分(木ノ下めぐみ撮影)
  • JRおおさか東線

 1日100食しかメニューを提供しない飲食店が京都にある。名前はずばり「佰食(ひゃくしょく)屋」(京都市右京区)。連日大勢の客が詰めかける人気店にもかかわらず、なぜ100食なのか。秘密を探ると、ワークライフバランスの充実を願い、「もったいない」の精神を大切にする“主婦の知恵”に裏打ちされた経営戦略が見えてきた。

 京都・阪急西院駅から徒歩5分。繁華街から離れた住宅街の一角にある「佰食屋」。昼時には少し早め、午前11時半でも店内は満席。外国人観光客の姿もある。

 メニューは国産牛を使ったステーキ丼やハンバーグ定食(いずれも税別千円)など3種類のみ。同店の中村朱美社長(34)は「食品ロスを抑えるための工夫の一つ」と話す。

 肉は同店のほか京都市内の系列店舗「肉寿司専科」、「すき焼き専科」の計3店舗で無駄なく使い切る。ステーキ丼にはウチヒラ(もも肉)、それ以外の部位はミンチにしてハンバーグに。肉寿司専科ならウチヒラは寿司(すし)、硬いスジは一晩煮込んで軍艦の上に載せる-といった具合だ。

 余った食材の廃棄が問題となっている飲食業界。しかし飲食店での勤務経験がなかった中村社長は「この部位は使わないから、と捨てるなんて、もったいなくて考えもしなかった。食材に無駄なんてない」と断言する。残った食材で献立をやりくりする主婦感覚を延長させ、問題を解決した。

 平成24年、11月29日(イイニクの日)にオープンした佰食屋。独特の経営手法と味の良さから話題を集め、一時は長時間待つ客の列が店の外にまで続いた。今では整理券を発行し、店先で待つこともなくなり、ほぼ毎日100食を売り切っている。

 前職は専門学校の広報担当だった中村社長。出張が多くて、土日が潰れることもたびたび。仕事を抱え込みがちで、不動産会社に勤めていた夫の剛之(たかゆき)さん(47)とも休日が合わなかった。

 「ゆくゆくは出産、子育てもと願っていたが、今の働き方では両立ができない。家族との時間を大切にしたい」と、剛之さんとともに起業を決意。料理上手な剛之さんの得意メニューだったというステーキ丼は、中村さんも「死ぬ前の最後の晩餐(ばんさん)はこれ」と話すほど、思い入れが強い一品だ。

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