山盛り飯「残さず頂戴しろ」 栃木・日光で輪王寺強飯式

強飯式で飯を差し出す山伏姿の僧侶らと、受け取る頂戴人ら=2日、栃木県日光市山内の日光山輪王寺(根本和哉撮影)
強飯式で飯を差し出す山伏姿の僧侶らと、受け取る頂戴人ら=2日、栃木県日光市山内の日光山輪王寺(根本和哉撮影)【拡大】

  • 強飯式で飯を差し出す山伏姿の僧侶らと、ひれ伏す頂戴人ら=2日、栃木県日光市山内の日光山輪王寺(根本和哉撮影)

 栃木県日光市山内の日光山輪王寺で2日、山伏姿の僧侶が山盛りの飯を差し出して「残さず頂戴(ちょうだい)しろ」と裃姿の頂戴人を責め立てる伝統儀式「強飯式(ごうはんしき)」が行われ、大勢の参拝者が見守った。

 強飯式は、山伏たちが修行した場所に供えたお供え物を持ち帰り、人々に分け与えたことから始まったとされる儀式で、江戸時代にはほぼ現在の形になったとされている。さまざまな御利益があるとされ、大勢の参列者が本堂「三仏堂」に集まり、儀式を見守った。

 午前中の第一座には栃木県経済界の有力者ら6人が頂戴人として参加。祈祷(きとう)などが終わると、僧侶らが三升の飯を高々と盛った椀(わん)を差し出し、頂戴人らに「頭(こうべ)を下げろ」「75杯残さず頂戴しろ」と責め立て、頂戴人らは椀を頭の上に載せてひれ伏した。

 式の後には、頂戴人が授かった福を人々に分け与えるという「縁喜(えんぎ)がらまき」があり、頂戴人らが参列者に向けて菓子の袋などをまいた。宇都宮市の主婦、高橋敦子さん(47)は「何回か来ているが、やはり厳かな雰囲気がすごい。御利益を期待している」と話していた。