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イギリスで医師が正式に「自然」を「処方」することが可能に ヨーロッパで広がる自然療法の活用 (2/4ページ)

ステレンフェルト幸子

 自然の中で過ごすことの心身への治療的意義に関しては現在までに様々な研究がなされており、今回の実施にあたっては特に血圧、精神疾患、心臓、糖尿病などにまつわる様々な問題への効果が期待されているという。地元の自然を利用して実行でき、副作用もなく、何よりお金がほとんど一切かからないので患者と財政のふところに優しい手軽さも歓迎されているようだ。

 冬は「自然の音を聴く」、夏は「タンポポを食べる」?!

 カレンダーに掲載されている活動(各月ごとに10項目前後が挙げられている)を見てみると、1月は「家の外に出て、3分間じっとして音を聞く」、2月は「マツユキソウをスケッチする」など冬でもできる小さな行動が主だが、春は3月の「8歳児のように遊ぶこと! 友達と昔よくした外遊びをしてみるなど」、4月の「芝に顔をうずめてみる」など徐々に活動的になる。夏の7月は「料理にタンポポの花を取り入れる」の他に「キャンプで野生化する、もしくは釣りに行く」「目に入る全ての鳥の種類を特定する」など、8月は「海鳥を10分間ずっと観察」、9月は「外で食べる3品コースを家族に振る舞う」など、外で長時間過ごせることが前提の活動が主になる。

 全体的に鳥関係の指示が多いのはプロジェクトに鳥類保護協会が一枚噛んでいるせいだろうな、などという筆者の邪推は野暮の極み。空を見上げることにはそれ自体気分を上向きにしてリラックスさせ、血圧を安定させるなどの効果があるとも指摘されている。さあ、上を向いて鳥を見て歩こう。

 プロジェクト担当者のビジョンは

 上記RSPBスコットランド支部の地域参画担当者、カレン・マッケルビー氏は、「自然が心身に良い影響を及ぼすというエビデンスは豊富にあります。そして多くの医師が自分の健康維持のためにアウトドア活動を実践している。それなのに、それを患者に勧めようとする医師ははるかに少ないのです。そこで、医師が患者に自然から得られる利益を説明するのをサポートするリーフレットを作成しました」と語る。

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