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かつて「負の遺産」 変わる大阪のベイエリア

 御代替わりに伴う10連休となったゴールデンウイークのある日、大阪市此花区の人口島・舞洲(まいしま)にある「大阪まいしまシーサイドパーク」で行われたネモフィラ祭りに足を運んだ。

 大阪湾をのぞむ丘陵地にネモフィラ約100万株が植えられ、青いじゅうたんを敷いたような美しい景色から「SNS映え」すると話題になっていた。

 舞洲へのアクセスは大阪市中心部から車で向かうか、電車とバスを乗り継ぐか。その日はおよそ100人くらいが、電車からバスへの乗り換えに列を作っていた。初夏のような汗ばむ陽気の中、待ちきれずタクシーを使って会場に向かう人も。舞洲内に入っても渋滞が発生していた。

 隣接する夢洲(ゆめしま)(同区)は2025年大阪・関西万博の会場予定地。約2800万人の来場が見込まれているが、現在の市中心部からの交通手段は舞洲から「夢舞(ゆめまい)大橋」を渡るか、咲洲(さきしま、同市住之江区)から「夢咲(ゆめさき)トンネル」を通るかに限られている。

 計画では会場内にマイカーは直接乗り入れられず、主要駅と会場を結ぶシャトルバスを運行させ、大阪メトロが24年度までに地下鉄中央線を延伸するほか、道路を拡幅することでアクセスを整える。

 だが想定される万博期間中の1日あたりの来場者は最大約28万人。万博会場の隣は、府市が誘致を目指すカジノを含む統合型リゾート施設(IR)の候補地でもある。松井一郎・大阪市長は「万博までにフルオープンできるようにしたい」と語っており、IRと万博の同時開催が実現すれば、どれだけの人数が押し寄せるのか、あるいは期待ほど来ないのか、どちらにせよ想像がつかない。

 長く「負の遺産」として人が寄りつかなかった大阪のベイエリアはまだ開発の途上。交通インフラも含めてこの先の数年でどう変わるのか、費用対効果も踏まえて見守っていかなければならない。汗だくでたどり着いた一面のネモフィラと海の青に癒やされながら、そんなことを思った。(小川原咲)

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