ヘルスケア

血栓症や脳梗塞予防になるか 注目集めるミミズのチカラ (1/3ページ)

 地面をうねうねとはい回るグロテスクな生き物。そう、ミミズだ。魚のエサとして釣り好きにはなじみがあるが、見た目は不快で、とりわけ庭に芝生を植えている家庭には厄介者でしかない。そんなミミズが今、血栓を溶かす働きなどがある酵素を含むとして、健康補助食品の分野で注目されている。奈良県大和高田市の製薬会社「ワキ製薬」を訪ね、“ミミズパワー”の秘密に迫った。(藤木祥平)

 案内されたビニールハウスに足を一歩踏み入れた途端、じめじめした生暖かい空気が体を包み込む。広さ約360平方メートルの室内には、ブロックで正方形に区切られた土壌が約40区画あり、掘り返してみると中からは大量のミミズが…。

 「8年前からミミズの自社養殖を始めました。クリーンな養殖場で菌を体外に出し、きれいにしてから使っています」。こう説明してくれたのはワキ製薬の脇本真之介社長(41)。ここは同社のミミズの養殖場の一つだ。年間に養殖で確保する量は計30トン以上。ミミズ1匹を4グラムで換算すると、約750万匹に相当する。

ミミズのサプリ誕生

 ワキ製薬は明治15(1882)年創業。置き薬を中心に業績を伸ばし、戦後まもなくミミズを原料とする風邪薬の販売を始めた。

 ただ、ミミズの外皮には解熱・鎮痛作用がある成分が含まれているが、内臓部分は捨てるしかなく、脇本社長の祖父で3代目社長の脇本佳信氏は「内臓部分も何かに活用できないか」と思案。「ひからびたミミズの死骸はよく目にするのに、水分を含んだ死骸は見たことがない」と気づいたという。

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