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真っ盛り、拡大の一途をたどる中国「おひとりさま経済」 (1/2ページ)

 1990年代後半、中国で暮らして最も困ったのは、食事と旅行である。一人でレストランに入るとじろじろ見られてストレスとなった。旅行も、長時間の鉄道旅行ならコンパートメントを使いたいが、一部屋4つのベッドに女性が一人混じるとそれは不安だ。中国は「一人」の文化がない、とその頃の私は思った。(ノンフィクション作家・青樹明子)

 二十数年がたち、今や中国は「おひとりさま文化」が真っ盛りである。男女ともに一人旅が増え、中国版カプセルホテルが各地で話題である。大人数で行くカラオケははやらず、その代わり「一人カラオケ」が隆盛だ。日本のテレビ番組「孤独のグルメ」が人気で、日本の「おひとり席」について紹介されると、インターネットではアクセス数が上昇し「羨(うらや)ましい!」「安心して食事ができる」「理想的なレストランだ」などというコメントが寄せられる。

 中国のおひとりさまは、今とんでもないことになっている。2018年の統計によると、中国の独身人口は2億4000万人で、これは英国とロシアの全人口を合わせた数字に匹敵するのだそうだ。

 独身者たちは、今後も増える一方とみられていて、彼らは中国人のライフスタイルを大きく変えていく。成年後、老後生活、そして死後にいたるまで、これまでの常識を大きく変えている。

 経済に及ぼす影響はより強い。中国の出前アプリはすさまじい規模で拡大し、「外買」と呼ばれるテークアウトは既に都会人の生活に欠かせない。

 中国の不動産は、これまで男性たちが結婚前に購入することが多かった。家がないと結婚の条件が低くなるためだったが、しかし今は、独身女性の購入が激増している。

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