クルマ三昧

まずまずの初対面?…美声の「ベンツ嬢」とは密な関係になれそうな予感 (1/3ページ)

木下隆之
木下隆之

 クルマと“会話”

 クルマは人々にとって「愛車」でいつづけられるのか…。その答えがここにあるような気がした。

 マイカーが愛車と呼ばれることが、実は希有なことなのだとあらためて思う。鉄とゴムでできた機械製品であるのに、「愛」というハートに響く愛称で親しまれている。毎日手を触れるはずの冷蔵庫は「愛庫」とは呼ばれない。身体に触れる衣服を綺麗にしてくれるのに、洗濯機が「愛機」と呼ばれることはない。だというのに、人を乗せて走るクルマは、まるでパートナーのように、愛情を込めて「愛車」と呼ばれ愛されている。

 そんな思いをことさら強くしたのは、メルセデスに搭載された対話型インフォテインメントシステム「MBUX」(メルセデス・ベンツ・ユーザー・エクスペリエンス)である。

 「Hi メルセデス」と呼び掛ければ、音声を認識して対応してくれる。いわばスマホの「Siri」をクルマに内蔵したというわけだ。目的地設定などはもちろんのこと、電話通話、音楽選択などは朝飯前だ。メッセージの入力と読み上げ、気象情報まで伝えてくれたりする。

 早速試してみたい。「Hiメルセデス」-。そう話しかけることで、音声認識機能を起動させれば、あとはスムーズな会話がテンポよく進む。「いかがしますか?」。即座に女性の美しい声で応えてくれたのにはハッと後ずさりしたくなった。

 生身の女性の声ではなく、どこかデジタルな合成ボイスではある。だが、特別な違和感はない。藤崎詩織や初音ミクや仮想アイドルを連想してしまった。限りなく人間の音声に近く、それでいてぜったいに血の通っていないバーチャルな合成音声なのである。

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