クルマ三昧

まずまずの初対面?…美声の「ベンツ嬢」とは密な関係になれそうな予感 (3/3ページ)

木下隆之
木下隆之

 クルマ離れの救世主?

 試乗が初対面であり、なおかつ滑舌が悪いことで、「MBUX嬢」との今回のコミュニケーションは決して円滑だったとは言えないが、長く付き合っていくうちに、僕らの関係はもっと密になっていくような気がした。

 実は、典型的な昭和世代である僕は、バーチャルアイドルには違和感がある。最近流行の、しゃべるロボット達にも不気味さを感じていた。あれが理解できるのは、僕よりひと回りもふた回りも若い層なのであろうと。だから当初は、MBUXを斜めの目で見ていた。とても愛車と呼ぶ気にはなれないのだと。

 だが、短い時間だったとはいえ、徐々に「情」のようなものが湧いていったのは、自分でも驚きだった。人と人の感情の交錯と同質の繋がりを意識したのだ。クルマの何処かに彼女が隠れているような気がしたのだ。思わず助手席に目をやったら、誰も座っていなかった。

 若者のクルマ離れの救世主になるかも知れない。そしてこれからもクルマが「愛車」と言われるに違いないと確信した。

木下隆之(きのした・たかゆき)
木下隆之(きのした・たかゆき) レーシングドライバー/自動車評論家
ブランドアドバイザー/ドライビングディレクター
東京都出身。明治学院大学卒業。出版社編集部勤務を経て独立。国内外のトップカテゴリーで優勝多数。スーパー耐久最多勝記録保持。ニュルブルクリンク24時間(ドイツ)日本人最高位、最多出場記録更新中。雑誌/Webで連載コラム多数。CM等のドライビングディレクター、イベントを企画するなどクリエイティブ業務多数。クルマ好きの青春を綴った「ジェイズな奴ら」(ネコ・バプリッシング)、経済書「豊田章男の人間力」(学研パブリッシング)等を上梓。日本カー・オブ・ザ・イヤー選考委員。日本自動車ジャーナリスト協会会員。

【クルマ三昧】はレーシングドライバーで自動車評論家の木下隆之さんが、最新のクルマ情報からモータースポーツまでクルマと社会を幅広く考察し、紹介する連載コラムです。更新は原則隔週金曜日。アーカイブはこちら。木下さんがSankeiBizで好評連載中のコラム【試乗スケッチ】こちらからどうぞ。

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