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漢方(1)中医学を基に国内で独自発達

 近年、漢方薬への需要が高まっている。健康意識の普及とともに利用者層が広がり、医療現場でも西洋医学と併用するケースが増加している。

 漢方は中国の医学と考えられがちだが、同じではない。5~6世紀ごろ、日本に伝わってきた中国医学(中医学)を基礎として、国内で独自に発達してきた医学が漢方だ。「漢」は中国、「方」は治療法を意味する。

 漢方薬は薬草など天然由来素材の根や茎、皮などに乾燥などの加工を施した生薬を2種類以上組み合わせたもの。漢方の医学理論に基づいて処方されている。

 生薬は主に中国などから輸入されていたが、やがて国内でも薬草の採取や栽培が行われるようになった。

 「日本書紀」には「611年、推古天皇が薬猟を行った」という趣旨の記述がある。日本で最初の朝廷が置かれた奈良県で国内最初の薬猟(薬草摘み)が行われたことがうかがえる。また東大寺正倉院には奈良時代に孝謙天皇が献納した60種類の薬名と質量などが記された「種々薬帳」がある。奈良は漢方ゆかりの地として発展し、製薬会社の創業者も多く輩出した。武田薬品工業の近江屋長兵衛やロート製薬の山田安民などがいる。(取材協力 奈良大和生薬)

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