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数夜限定の晩餐「ダイニングアウト」の魅力 それは一期一会の贅沢な体験 (4/4ページ)

SankeiBiz編集部
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 ダイニングアウトの価値

 それにしてもなぜ、地域と手を取り合いこのようなイベントをやっているのか…。そもそもダイニングアウトとは、日本各地で野外レストランを開催する「ONESTORY」が主催する地方創生プロジェクトの一つ。出色の一流シェフやクリエイター、意思のある地元の人々が手をつなぎ、その土地ならではの新しい魅力を編集して、野外レストランという形で発信している。1回目を2012年に新潟の佐渡で開催してから、彼らなりのやり方で継続的な地域活性を実現してきたのだ。

 このイベントを通じて感じることは、参加者それぞれ違うかもしれない。筆者にとってのダイニングアウトの価値とは、「唯一無二の経験」だということだ。今後、この風光明媚な浅虫の町を高台から眺めながら目黒シェフの食事に舌鼓を打ち、自分たちのために花火が打ち上がるというドラマのような体験が、完全に同じ形で再現されることはないだろう。しかも、この日の料理は今回だけの特別メニューで、すべてが一期一会の作品だったのだ。「abysse」に行っても二度と食べることができないからこそ、本当に「プレミアムな野外レストラン」なのだ。

 もちろん出演者にとっても貴重な経験だ。今回のイベントに三顧の礼で迎えられた目黒シェフは、ダイニングアウトについて「ずっとやりたいと思っていた。これは自分の人生を変えるぐらいの経験。(寺院の台所という)限られた設備と環境にアジャストする能力、様々なイレギュラーに対応する能力、チームをまとめる能力など、シェフとして総合力が問われる。自分が成長できる場所だと分かっていた」と参加する意義を熱く語っていたのがとても印象的だった。

 目黒シェフが中心となり陸奥湾の食材を使って描いた食のアート。地元スタッフの総力を結集して実現した美術館ツアーや花火の演出。そのどれもが五感を呼び覚ます感動の体験だった。これらすべての時間が「青森の芸術」という大きなテーマのもと、パズルのピースのごとく繋がることで、まさに一つの物語=「ONESTORY」となって完結したのだ。

 レストランはもう消えてしまったが、浅虫で触れた一期一会の経験はすべて心に刻まれている。深い旅情は美しい思い出となり、これからも心の中で滔々と流れ続けるだろう。

■目黒浩太郎

 フレンチレストラン「abysse」オーナーシェフ。1985年、神奈川県生まれ。祖父は和食の料理人、母は栄養士という環境の中で自然と料理人を志す。服部栄養専門学校を卒業。都内複数の店で修業後、渡仏。フランス最大の港町マルセイユのミシュラン三ツ星店「Le Petit Nice」へ入店し、魚介に特化した素材の扱いやフランス料理の技術を習得。帰国後には日本を代表する名店「カンテサンス」にて、ガストロノミーの基礎ともなる、食材の最適調理や火入れなどさらに研鑽を積んだ。2015年「abysse」をオープン。日本で獲れる世界トップクラスの魚介類を使用し、魚介に特化したフランス料理を提供、ミシュラン東京では一つ星を獲得している。国内外から今最も注目を集めている料理人の一人である。

 ■ダイニングアウトの今後の開催予定や申し込みは、ONESTORYやレクサスのホームページから確認できます。

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