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清掃からレクリエーションへ 欧州で拡大、「お金を払ってごみ拾い」ツアー (2/4ページ)

 ビジネスとして躍進中の「プラスチック・ホエール」

 一方、ゴミを集めるツアーにあろうことかけっこういいお値段の料金を課し、ビジネスとして大成功を収めているのがオランダ・アムステルダムの運河発「プラスチック・ホエール」だ。なぜ多くの観光客が、ゴミ収集にお金を出すのだろうか?

 全行程2時間半、一人あたり25ユーロの「ツアー」の気になる内容はこうだ。参加者は同社オリジナルのスタイリッシュなボートに乗り、「スキッパー」と呼ばれる案内係から挨拶を受ける。地元に詳しいスキッパーから、地元民としてのおすすめや裏情報を含む充実した観光案内を受けながら運河をクルーズし、そうする間に運河のゴミを手にしたアミで回収する。2時間のボートツアーが終わり上陸した後は、同時刻にツアーをした他のボートと回収したゴミの量を比べ、最も収穫の多かった(もしくは、『いいもの』を回収した)チームが表彰される。

 そしてここがミソなのだが、回収されたプラスチックは、同社のツアーボートに生まれ変わる。ツアーの際に乗船していたボートは、まさに以前運河を漂うゴミだったのである。

 さらに同社は今後地元の家具会社との協働でオリジナル家具ブランドを立ち上げ、利用者が自分で拾ったプラスチックゴミで作った家具を注文できるサービスを始めている。

 運河がきれいになるという充実感に加え、スキッパーからの他にはない観光案内、資源集め競争としてのゲーム的要素の楽しさ、更にその集めたゴミがサステイナブルなボートや家具に生まれ変わるという生産性という、一粒で4度も5度もおいしい点が支持を得て、旅行評価サイトのトリップアドバイザーでも、5点満点中平均4.9点という驚異の高評価を得ている。

 特に学校の遠足や子連れ旅行に人気で、とても楽しい上に運河を漂うゴミを間近で目にし、自分の手で拾う体験は子どもたちに対して「百聞は一見に如かず」的な教育効果があったという書き込みが目立つ。

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