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未経験、段階踏んで介護職に 杞憂だった長いブランク (1/2ページ)

 介護施設には、身体介護だけではなく、清掃や調理などさまざまな仕事がある。こうした“周辺”の仕事を経験してから介護職になった女性は「長らく仕事に就いておらず、私には介護の仕事は無理だと思っていた」と振り返る。しかし今、生き生きと働く姿に不安はない。(道丸摩耶)

 ◆「歩いて5分」決め手

 横浜市泉区の高台に介護付き有料老人ホーム「SOMPOケア ラヴィーレ弥生台」がある。吹き抜けやラウンジのある広々とした空間で、入居者が思い思いに昼下がりを過ごしている。テレビを見る入居者に目を配りながら食後のお茶を配る尾関昌子さん(54)は、ここで働き始めて10年以上になる。

 「中学生だった長女と小学生だった長男の教育資金の足しにしたいと、家から近い場所で仕事を探したのがきっかけです」

 この施設が、歩いて5分の場所にできたとき、1日4時間だけの求人があった。部屋を掃除したり、シーツを交換したりする「クリーンスタッフ」だ。子供が下校する午後には家にいたい。それがかなう月20日ほどの勤務は求めていた条件にぴったりだった。

 長女を出産する際、メーカーを退職して専業主婦になった。働くのは十数年ぶりだったが、初めて知った介護の現場は思いの外、楽しかった。

 「入居者さんはちょっとしたことでも、『ありがとう』と言ってくれる。仲間は優しく、気持ちのいい人たちばかり。恵まれました」

 ◆徐々に時間を増やし

 下の子供が中学生になるのを機に、クリーンスタッフの仕事を洗濯の仕事に変えた。こちらは1日7時間、週3日の勤務。時間は延びたが、きついとは思わなかった。逆に週4日の休みが退屈になるほどだった。夫の扶養から外れ、働けるだけ働きたいと望む尾関さんを家族も全面的にバックアップしてくれた。

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