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自己肯定感こそがラグビーの魅力 日本代表が試合後にロッカー清掃をする理由 (2/2ページ)

 どんな人でもありのままの姿で活躍できる多様性のスポーツ

 ラグビーには10個のポジションがあり、15人で1つのチームをつくります。小柄な人も太った人も背が高い人も、自分の特技や特徴を活かし、プレーできる。自分をムリに変えなくても、チームに認められて居場所を見つけ、自己肯定感を持てる。どんな人でもありのままの姿で活躍できる多様性のスポーツだと気づきました。

 人に認めてもらえて自己肯定感を持てれば、他者に対しても優しく寛容になれるんじゃないか。だからコージには、ぼくらが仲良く見えたんだろうし、ぼく自身も仲間たちが明るく楽しそうに感じるんだと思います。

 ――ラグビーが持つ「多様性」については『ラグビー知的観戦のすすめ』でもたびたび言及されていますね。廣瀬さんはラグビースクールから日本代表まで、所属したチームすべてでキャプテンをつとめてきましたが、多様な特徴を持つ選手を1つのチームにまとめるうえで意識してきたことはありますか?

 何より重要なのは「目的」だと思います。前回W杯の日本代表は「なんのために勝つのか」という問いに対して、「憧れの存在になるために、勝とう」という目的をみんなで共有することができました。その結果、すばらしいチームになりました。

 ぼくがキャプテンを任された2012年当時、プレーヤーだけでなく、ファンの人たちも含めて、日本代表に対する愛着が低かったような気がしていました。ラグビーファンに印象に残る試合を聞けば「×年前の早明戦」とか「7連覇した新日鉄釜石や神戸製鋼のゲーム」という答えが多かったと思います。そこでキャプテンとして、まずは日本代表を憧れの存在にしなければ、と思ったんです。

 試合後にロッカールームの掃除をする理由

 ――前回W杯では南アフリカからの逆転勝利で、日本ラグビーを取りまく空気が変わったように思います。あの試合に勝ったことは、日本代表が「憧れの存在」になるうえで大きかったのでしょうか。

 はい。でも、それだけではありません。勝ち負けは、自分たちの力でコントロールできません。しかし、ぼくたちは自分たちの努力次第で「憧れの存在」にはなれると考えました。たとえば、子どもたちからサインを求められたら、声をかけて丁寧に応じる。海外の試合で使わせてもらったロッカールームは、最後に掃除をする。そうした積み重ねによって、たくさんの人に応援してもらえるチームになるはずだと全員で取り組んできたんです。

 ――チームメイトやスタッフみんなが同じ目的を共有する。スポーツ以外でも重視されはじめている考え方ですね。

 はい。大切なことは物事を深く掘り下げ、本質を理解しようとする姿勢です。ぼくはキャプテンとしてプレーした期間が長かったせいか、ラグビーとはどんなスポーツなのかを考える機会が多かった。それがよかったのかもしれませんね。(元ラグビー日本代表キャプテン 廣瀬 俊朗)


 廣瀬 俊朗(ひろせ・としあき) 元ラグビー日本代表キャプテン。1981年、大阪府生まれ。ラグビーワールドカップ2019公式アンバサダー。2007年に日本代表選手に選出され、2012年から2013年までキャプテンを務める。ポジションはスタンドオフ、ウイング。


(PRESIDENT Online)

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