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ポテチで人気の「今金男しゃく」 北海道産なのに道内で買えない?

 ポテトチップスで知られる北海道産銘柄ジャガイモ「今金(いまかね)男しゃく」の人気が年々、高まっている。首都圏ではブランドイモとして定着し、地元農協は海外輸出もにらむ。ところが、道内では店頭で見かけることがほとんどなく、関係者は「北海道の方から『買えない』とお叱りを受けている」と明かす。北海道産なのに道内で入手が難しい理由とは。(寺田理恵)

 地元町長も3枚だけ

 日本一のジャガイモ産地として知られる北海道の知事応接室。ポテチの袋を手にした鈴木直道知事が「新聞とテレビで見たが、実物は初めて」と目を輝かせると、今金町の外崎秀人町長がすかさず自虐ネタを披露した。

 「私は3枚しか食べていない。(産地の)町長でも3枚だから」

 2人が話題にしたのは、スナック菓子大手「湖池屋」(東京都板橋区)が今金男しゃくの新ジャガで製造したポテチ「うすしお味」と「のり塩」。

 毎年9月に同社のインターネットショップと今金町のスーパーで予約販売が始まり、10月には完売する人気商品だ。外崎町長らが鈴木知事を訪問したのは11月下旬で、今年の販売はすでに終了していた。

 9割以上を大市場へ

 今金男しゃくは、北海道南西部の今金町とその近辺で生産される男爵イモ。でんぷん含有率が男爵品種平均より約1割高く、ほくほくした食感と舌触りの良さを特徴とする。徹底した品質管理が行われ、他産地の男爵品種に比べ2割以上の高値で取り引きされる。

 道内では入手が困難で、札幌市内では一部のスーパーでしか扱っていない。全体の90%以上が東京や神奈川、静岡を中心に販売されているためだ。

 その理由について、今金町農協の小田島親守組合長は「昭和30年頃からブランド化を目指し、日本一大きな市場に出荷してきた。生産量が約1万トンと限られ、このうち選果を経て箱詰めできるのが5~6割。出荷先を増やすには量に限界がある」と話す。

 五輪を機に海外へも

 農林水産省は今年9月、地域の農林水産物や食品のブランドを守る地理的表示(GI)保護制度の対象に今金男しゃくを登録。富士山と日輪をモチーフにしたGI専用マークを付けることができ、今金町農協は「海外への輸出も視野に入れる」と勢いづいている。

 鈴木知事との懇談は、今金町側がGI登録を報告するのが目的だ。鈴木知事は「来年は五輪のマラソンと競歩が札幌で開催される。北海道を代表するブランドを食べていただくチャンス」と意気込みを示した。

 道農産振興課によると、道内のジャガイモの品種はメークイン、キタアカリ、とうやなど50種を超す。近年は品種開発が進み、平成元年の16種から約3倍に増えた。生産者も消費者も色や食味にこだわり、煮物やサラダ、フライなど用途によって使い分けるという。

 米や果物などのような品種の食べ比べも行われている。今金男しゃくのライバルは少なくない。小田島組合長は「これまで以上に気を引き締めて生産したい」と力を込めて語った。

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