オーダーブックで読み解く外為市場

米国の対中関税引き上げ、英国総選挙…イベント目白押しで不安定化も (2/2ページ)

 週末の下落で含み損を抱えた買いが増加中

 先週のユーロドルは、前半は底堅く、一時1ユーロ=1.11米ドルを超える水準まで上昇する動きとなりましたが、週末には失速し、再び1ユーロ=1.1050米ドル付近まで押し戻されました。

 OANDAのオープンポジションを見ると、売買の偏りは少ないですが、先週末の下押しで含み損を抱えた買いポジションが増えており、安値を切り下げる動きとなると、これらのポジションの損切りの売りが増え、下落圧力が強まる可能性を見出すことができます。

 このため、安値を結んだトレンドラインや、直近の価格が下げ止まり上昇に転じると考えられるサポート水準の1ユーロ=1.0980米ドルを割り込む動きとなった場合は損切りを絡めた下落に注意が必要となりそうです。

 英国総選挙前後の動きに要注意

 先週のポンドドルは、底堅い推移が続き、上値を抑えていた1ポンド=1.3000米ドルの水準を上抜け、上昇が勢いづく展開となりました。

 OANDAのオープンポジションを見ると、売りポジションに大きく傾き、その多くが含み損を抱えており、高値を切り上げると、損切りの買いが増え、上昇を後押ししそうな気配が続いています。

 ただし、英国総選挙という大きなイベントを控えており、投票結果を受けて不安定な推移となることが想定されるため、結果が出る前後の動きには注意が必要です。

 市場では世論調査の結果を受けて保守党が過半数以上の議席を獲得するであろうとの期待感からポンド買いが進んでいるため、期待通りの結果となっても、その後のポンド買いが限定的になる可能性があるほか、保守党が過半数を獲得できないというサプライズも含めて警戒が必要となりそうです。

〈OANDAのオーダーブック〉

オープンポジションはここに注目

 相場を動かす要因の一つは損切り注文といっても過言ではありません。

 これ以上損失を増やしたくないトレーダーは保有しているポジションの反対売買を行い、損失を確定させ、市場から退出します。

 例えば、価格が下落する局面では、買いポジションの保有者が苦しくなり、損切り注文(決済の売り注文)が出やすくなり、下落圧力が強まる要因となります。

 損切り注文は価格の向かう方向と同じ方向へ力が加わる注文となるため、損切り注文が多くでる場面では、短期間に相場が大きく動きやすくなります。

 オープンポジションを見ると、どの水準に含み損を抱えたポジションが多いかを視覚的にチェックすることができ、次にどちらに動いた方が、価格の動きが大きくなりそうか(損切り注文が多く出そうか)を予想することができます。

オープンオーダーはここに注目

 前述の通り、損切り注文が増えると、一方向への力が強まるため、価格の動きが勢いづくことがあります。

 オープンオーダーを見ると、どの水準にどの程度の注文(オーダー)が入っているかを視覚的に素早くチェックすることができます。

 損切り注文が多く入っている水準に到達すると、価格が短期的にでも勢いづくことがあるため、注意が必要です。

世界中のトレーダーの相場分析のサマリー?

 トレーダーが損切り注文を入れる水準は、通常は、チャートで相場分析を行なった上で、「この水準を超えてしまったら、相場の流れが逆方向に向かう」と考えた水準に入れます。

 OANDAのオープンオーダーは、世界中のトレーダーが相場分析を行った結果のサマリーと言っても過言ではありません。

 これを見れば、世界中のトレーダーがどの水準に注目し、相場の転換点となると考えたかを簡単にチェックできます。

※逆指値注文:現在の水準よりも不利な水準を指定して行う注文。通常、損切り注文はこの逆指値注文を使います。

本記事に掲載されている事項は、投資判断の参考となる情報の提供を目的としたものであり、投資の勧誘を目的としたものではありません。投資方針、投資タイミング等は、ご自身の責任において判断してください。本サービスの情報に基づいて行った取引のいかなる損失についても、当社は一切の責を負いかねますのでご了承ください。また、当社は、当該情報の正確性および完全性を保証または約束するものでなく、今後、予告なしに内容を変更または廃止する場合があります。なお、当該情報の欠落・誤謬等につきましてもその責を負いかねますのでご了承ください。

  • OANDA Japan株式会社
  • 第一種 金融商品取引業 関東財務局長 (金商) 第2137号
  • 一般社団法人 金融先物取引業協会 加入番号1571号
OANDA FXラボ編集部
OANDA FXラボ編集部 OANDA Japan株式会社
世界各国に拠点を持つFXブローカー
1995年に世界で初めてインターネットを利用した無料の外国為替レート情報の提供を開始したOANDAの日本法人。創業当初から、正確で透明性の高い優れた為替レートを提供するため万全のインフラを整え、取引環境の改善を行ってきた。現在では世界8カ国にオフィスを構え、そのサービスは世界中のトレーダーに利用されている。

【オーダーブックで読み解く外為市場】はOANDA FXラボ編集部が投資判断の参考として外国為替市場の動向を読み解く連載コラムです。更新は原則毎週火曜日。アーカイブはこちら

Recommend

Ranking

アクセスランキング

Biz Plus