教育・子育て

おこづかいは“訓練”だ FP夫婦が小3の長女と「マネー会議」で話すこと (3/3ページ)

 お子さんのお金の管理能力は上がるでしょうが、個人的にはおこづかいはおこづかいで渡し、お手伝いには「ありがとう」で終わりたいと考えています。

 足りないときは「補填費用」から

 お金は私たちが生まれた瞬間から一生の間ずっとつき合っていくもので、人生の幸福度を大きく左右します。そして、子どもたちにとって最初にお金の使い方を考える機会となるのがおこづかいです。

 横山家では小学3年生から500円のおこづかいが支給され、学年が上がると小学生のうちは100円ずつ上がる仕組みです。おこづかいを始める年齢の根拠は特になく、長女のときのやり方を続けています。

 ただ、五女だけは600円からのスタートでした。これは彼女が家族マネー会議で「欲しい月刊マンガ雑誌が580円だから」と主張し、承認されたからです。マンガ雑誌を買うと残金は20円ですが、文房具などの学校生活に必要なものは家計から出すルールなので、残金20円でもかまわないと納得していました。

 それでもおこづかいが足りない場面は出てきます。そんなとき、子どもたちは「年間のおこづかい補填費用」から使っています。これはお年玉を貯金と「年間のおこづかい補填費用」に分けたもので、足りない月の分をそれで補ったり、月々のおこづかいでは買えないものを購入したりしています。

 「なぜ欲しいのか」を掘り下げる

 小中学生のうちは、買い物をするときは妻や私に「○○を買う」と申告するのがルールになっています。そして、子どもたちが買ったものをどうしているかについてそれとなく気にして、後日「最近、使っていないけど、大切にしている?」「いい買い物だった?」「出しっぱなしで片づけてないよね?」など、本人が使い方を振り返ることができる問いかけをします。大切にしていなかったら「無駄づかいだ」と反省し、次に生かてもらいたいからです。

 すべてのものについて問う必要はありませんが、本人の意志でした買い物に「どうだった?」と問いかけて、使い方を意識するように手伝いをしましょう。

 おこづかい制を始めるとき、親としては「すぐに使い切ってしまうんじゃないか」と不安になります。しかし、私はそれでいいと思っています。最初はおこづかいをもらった当日に全部使い切ってしまうという失敗をしたとしても、親は欲しいものを簡単には買ってくれないとわかると、やりくりすることを覚えます。さらに、「そもそも、これは本当に欲しいものなのか」と、子どもながらに熟考するようになってきます。「欲しい」というウォンツの理由を掘り下げていくと、より本質的なニーズが見えてくるということです。

 たとえば、「友だちとファストフード店に行きたい」と思ったとき、本当のニーズは「友だちと一緒に時間をすごしたい」ということだと気づくと、「だったら、家に来てもらえばお金を使わずにすむかも」と行動が変わってきます。

 計算、管理、金銭感覚など、おこづかいを通じてお金の使い方を考えることは、子どもにとってとても重要な学びと体験です。

 こうした金銭感覚の教育は、社会に出ていく前準備になります。なにしろ、私たちはずっとお金を使いながら生きていくのですから。

 横山 光昭(よこやま・みつあき)

 家計再生コンサルタント、株式会社マイエフピー代表

 お金の使い方そのものを改善する独自の家計再生プログラムで、家計の問題の抜本的解決、確実な再生をめざし、個別の相談・指導に高い評価を受けている。これまでの相談件数は2万3000件を突破。各種メディアへの執筆・講演も多数。著書は60万部を超える『はじめての人のための3000円投資生活』や『年収200万円からの貯金生活宣言』を代表作とし、著作は110冊、累計330万部となる。個人のお金の悩みを解決したいと奔走するファイナンシャルプランナー。

 (家計再生コンサルタント、株式会社マイエフピー代表 横山 光昭)(PRESIDENT Online)

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