教育、もうやめませんか

机上の空論も大いに結構 科学教育にもビジネスにも「絵空事」が一番大事 (2/3ページ)

野村竜一
野村竜一

 そして研究者たち個人の焦りを伴った想いと同時に、組織に属する研究者の立場というものが強く影響することも知った。Manaiのような活動には是非協力したいと言ってはくれるものの「大学の教授会がそういった活動は認めない」など、「私は協力したいが、組織が」というケースも多かった。もちろんこれは誰を責めるというものではない。地道にManaiの活動を行い実績を作り認知を、そして賛同を得るべきだという我々の想いが強まった。

 「ナイス、フラワー!」

 サマースクールは開催地選びにもこだわった。サマースクールの開催地は、そのままManai開校の地にするつもりだったというのもある。

 (1)周辺に連携できる国際的な法人や団体がある(2)都心からのアクセスがよい(3)都市自体に国際色がある(4)自治体の首長が改革派であり先進的な取り組みに理解がある(5)港町、もしくは港町として栄えた歴史がある…というのが条件だった。Manaiはやはり世界に開けた場所にあるべきだと考えたからだ。

 そんな条件を実現性を無視して探している中、いくつかの候補の一つとして浮上したのが神奈川県横須賀市だった。日本が外国に対して開くきっかけとなった土地だ。そんな場所に世界中のタレントが集まり、そしてまた世界に散らばっていく。物語として最高だった。

 横須賀市役所に勤める知人に連絡をとり計画を説明し、市の後援をもらうべく市長にプレゼンテーションできないか打診した。幸いにも、須賀市からは計画への賛同を得られ、市と鉄道会社で運営するリサーチセンターをサマースクール会場として借りることになった。

 横須賀市役所を訪れた際、街の国際的な空気に触れる機会があった。その近くの郵便局で、おそらく帰宅途中の米軍関係者が花束を持って順番を待っていたところ、そこを通りかかったおじいちゃんがとても自然に「ナイス、フラワー!」と笑顔で話しかけていた。横須賀でのサマースクール開催への想いを強くした出来事だった。

 「50年後に抱える課題の解決方法を提案せよ」

 生徒は世界中から募った。サイエンスに国境はないと信じているし、ダイバーシティのある環境にしたかったからだ。応募数は募集人数を超えたため選考も行い、最終的には日本を含むアジア4カ国から25名の生徒が参加してくれた。

Recommend

Ranking

アクセスランキング

Biz Plus