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「乗車料金の交渉に学校が役立った」 イタリアの教育が培うサバイバル術 (1/3ページ)

安西洋之
安西洋之

 先日、ファエンツァに家族で出かけた。ミラノから東南に270キロ離れた街だ。そこにあるセラミック美術館で開催中のピカソの陶芸品の展覧会を見るためである。

 ミラノから高速鉄道に乗りボローニャで普通電車に乗り換える予定だった。しかしボローニャ到着が遅れ、予定していた普通電車に乗れなかった。ファエンツァの美術館で案内をしてくれるディレクターとのアポがあったため、取り急ぎ次の特急電車に飛び乗るしかなかった。駅で特急券を買っている時間はなかったのだ。

 車内で清算するしか手段がない。余分な罰金を請求されれば払うしかないが、もともと同じ鉄道会社の運行遅れが原因なので交渉の余地はあるかな?程度のことは考えた。

 特急電車はそれなりに混んでおり、息子と家内が車両の前の方、ぼくは後ろの方の席に座ることになった。そしたら前方から車掌が検札にきたが、その時点でぼくはその様子を見ていなかったので、ここからは家内と息子から聞いたことだ。

 車掌は特急券がないなら2人分の20ユーロ(およそ2400円)を払うように言ったらしい。それに対して、家内を差し置いて高校生の息子が「高速電車の遅れによる失点を、あなたはどう考えるのですか?」と言い放った。そして「ボローニャ駅のインフォメーションセンターで聞いたら、このまま特急に乗っていいと言われました」と説明。

 前述したように、ボローニャ駅でインフォメーションセンターに行くような時間がなかったのが事実である。つまり息子の方便だ。

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