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秩序の優先度は「東京>ロンドン>ミラノ」 横断歩道は文化差異を再考させる (1/3ページ)

安西洋之
安西洋之

 ロンドン市内の横断歩道を渡ろうとしたとき、一緒にいたイタリア人の友人に「ここはミラノじゃない。赤信号で渡るには気を付けろ!」と注意された。そう、クルマがスピードを落とさずにグングンと迫ってきたのだ。

 ミラノでは信号の色とは関係なく、クルマがいなければ、いや、いてもクルマが接近するまでにまだ距離があれば、歩行者がどんどん道を渡るのは普通だ。ただし、それでも以前と比較するならば、運転をする人も歩く人も信号の色を守るようにはなった。

 信号の上に監視カメラがあり、クルマの信号無視には罰金が厳しく課せられるようになったためで、それと並行して歩く人の行動パターンにも変化が見られる。それでも歩く人の信号軽視は普通で、クルマの運転もその動きを想定している場合が多い。

 このミラノの習慣でロンドンの横断歩道を、ぼくは「強気」で渡ろうとしてしまったのだ。そしたら、クルマが急接近してきた。ここはロンドンだと気づいたのである。

 しかしながら、その後、「あれっ、ロンドンのドライバーは歩行者をもっと優先していなかったっけ?信号無視であっても!」と思い起した。そういえば、その昔、「東京のドライバーは歩行者への配慮が低いが、ロンドンの運転者は歩行者を優先する態度をとる」というセリフが、日本の中で流通していたことを思い出したのだ。あれは何十年前の話だっただろう(逆に、東京では信号無視の歩行者が増えている印象があるが、どうなのだろう)。 

 この話から「秩序優先の社会」という言葉が思い浮かんだ。

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