ブランドウォッチング

五輪選手村「晴海フラッグ」はニューノーマル マンションポエムには頼らない (1/3ページ)

秋月涼佑
秋月涼佑

 本連載ではブランディング視点で色々なモノやサービスを取り上げていますが、いつも感じるのが近年の進化スピードの速さです。特にコンビニを中心に売られるパッケージプロダクトを代表に激しい開発競争の成果で、次から次へと新商品が展開され、日本の生活者にとっては世界的にも稀有な豊かで便利な消費生活が提供されていると感じます。

 でも一方で、住環境はどうでしょうか? 日本全国では少子高齢化、人口減に向かいながらも東京圏への人口流入は相かわらずで、東京都の人口は一貫して増加傾向です

 そんな中、オフィスやホテル用地の需要堅調を背景に都心部を中心に土地の値段も高止まりし、人件費や資材の高騰もあいまって新築の集合住宅の平米単価は上がる一方。そのためサラリーマン世帯がなんとか買える支払い総額にするため新築マンションの平均専有面積はなかなか広がらず、東京圏では63.09平方メートル(2019年)ということです

 日本の狭い木造家屋を「ウサギ小屋」と揶揄されたのは昭和の時代ですが、残念ながら広さの面で劇的にその状況が改善されたとは言えないのかもしれません。

 未曽有の4145戸販売

 「高い」「狭い」と、都心回帰したくても回帰できない状況の中、2020オリンピック・パラリンピックの選手村を大会後リノベーションして4145戸という歴史的な戸数の集合住宅を提供しようというのが、晴海フラッグのプロジェクトです。東京都が施行者となり三井不動産レジデンシャルをはじめとする日本を代表するデベロッパー11社を特定建築者として指名し、施行者にかわり建築物の建築をさせるという、東京都肝入のプロジェクトでもあります。

 全国を見回しても、1度の販売で1000戸を超える集合住宅の供給は過去を含め多くなく、まして4145戸という数字は未曾有という他ありません。関係者に当初はこれだけの供給数に対する懸念もあったようですが、ふたを開けてみればむしろ大盛況。すでにかなりの戸数が契約済、現在営業中の販売パビリオンは見学・商談を希望する方で予約が取りにくい状況とのことです。

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