試乗スケッチ

刺激的に進化したアウディA1 クワトロ風のインレットはダテじゃない (1/2ページ)

木下隆之
木下隆之

 これはキュートなデートカーなのか、それともストイックに走りに没頭するためのスポーツハッチなのか、頭を悩ませることになった。試乗会場に並ぶ新型のアウディ「A1スポーツバック」に正面から歩み寄ったのは、正解だったのか過ちだったのか。試乗車として希望した「35TFSI S ライン」は、ニヤリと不敵にほほ笑んだかのように待ち受けてくれていたのだ。

 「アウディクワトロ」を彷彿

 8年前にデビューした初代A1は、アウディファミリーの中の末娘である。全長4メートルを割る丸っこいキュートなボディスタイルであることもあり、可愛さが先に立つモデルだった。抱き上げたらズッシリとするであろうと想像するボディは凝縮感があり、それがアウディらしくもあったのだが、兎にも角にも女性的な優しさが特徴だった。

 だが新型は、つかつかと歩み寄る僕を眼光鋭く見つめる。切れ長のライトがシャープなだけではない、シングルフレームのフロントグリルもアグレッシブであり、サイドの大口径インテークも攻撃的である。だがそれよりも僕の目を引いたのは、グリルとボンネットの間に挟まれるようにして刻まれた3分割のエアインレットだった。1984年に世界ラリー選手権を席捲した「アウディクワトロ」のボンネットを彷彿させるのだ。

 当時の直列5気筒2.1リッターターボエンジンは強烈なパワーを発揮した。それゆえに発熱も無視できず、冷却器と吸気のための空気口を開けたのである。それがふたたび蘇り、アウディスポーツのアイキャッチになった。

 すでにミッドシップスポーツのアウディR8に3分割のエアインレットが開けられている。激辛スポーツモデルの一つのイメージとしての3分割エアインレットなのである。

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