著者は語る

コンサルタント・有田英明氏『ドラッグストアの教科書』

 『需要創造とソリューションを武器とする ドラッグストアの教科書』

 安売り以外の新たな競争軸を開発

 バブル崩壊後、小売業界で伸長したのはコンビニエンスストアとドラッグストアだけといった状況が続いていました。ドラッグストアの過去30年間でいうと、前半15年間が黄金期であり、全国のドラッグストア企業がわが世の春を謳歌(おうか)した時代でした。そして後半15年間は淘汰(とうた)期であり、マーチャンダイジング(MD)とマネジメントに劣る中小ドラッグストア企業が淘汰されて、大手ドラッグストアに集約された時代でした。

 大手ドラッグストアは売り上げ1兆円を目前にした企業も複数、現れています。しかし大手ドラッグストアも安泰ではない。人口減少とそれに伴う環境変化は、大手ドラッグストアの経営にも大きな影響を与える。これを私は「五重苦の時代」と呼んでいます。(1)人口減少(2)お客さまの可処分所得の減少(3)深刻な人手不足(4)ネット販売の急伸(5)競争の激化です。

 ドラッグストア成功法則の一つが「食品の安売りで集客し、利益商品の医薬品で稼ぐ」というものでした。問題はこうした成功法則が通用しない時代になったことです。既に安売りは当たり前の時代であり、さらに人口減少によって安売りしても売り個数は増えないからです。

 これからは「安売り以外の競争軸」が必要になる。ドラッグストアにとっての新しい競争軸が「需要創造MD」です。

 もちろんこれからも生活必需品の安売りは続く。したがって生活必需品の安売りには歯を食いしばって対抗する。しかし人口が減るのだから、生活必需品のマーケットは縮小する。生活必需品の安売りだけでは生き残れない時代になった。

 これからは戦略的に需要創造に取り組む新業態を開発する必要がある。そしてそれが「ソリューション型ドラッグストア」です。

 需要創造とは、お客さまの不満、悩み、要求を解決する高品質な商品と情報とサービスを提案する行為です。それによってお客さまを喜ばせ幸せにする行為です。この本ではソリューション型ドラッグストアの戦略と戦術、作業動作、組織運営、人材育成について解説しています。筆者のクライアントであるドラッグストア企業やスーパーマーケット企業において、売り場と組織と人材の中で実際に取り組んできたことであり、今も取り組んでいることです。(2500円+税 ダイヤモンド社)

【プロフィル】有田英明

 ありた・ひであき 広告代理店、業界誌の編集者を経て1989年に独立。小売業のコンサルティング、流通業分析、マーケティングを専門分野として活動中。92年からは「スーパードラッグストア開発研究会」をスタート。大手ドラッグストア企業を育て、スーパーマーケットとドラッグストアが融合した「フード&ドラッグ」の開発も手掛けてきた。59歳。千葉県出身。

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