オーダーブックで読み解く外為市場

イースター休暇で値動き荒くなる可能性 市場参加者減少の影響に要注意 (1/2ページ)

 先週の為替市場は、値動きは少し落ち着きを見せ始めていますが、引き続き欧米を中心に新型コロナウイルスの感染拡大に歯止めがかからず、景気減速への警戒感が強い状態が続いています。

 為替市場においては、一般的に市場のリスク許容度が低下する局面では、安全資産とされる円やスイスフランが強くなり、次いで米ドルが強くなる傾向があります。しかし、今回のケースでは、リスク許容度が低下する局面では、資産の現金化に伴うドル需要を中心に米ドルの強さが目立つ状態が続いており、今後も新型コロナウイルスによる悪影響が意識される場面では、米ドルが買われやすい状態が続きそうです。

 これに対し、ユーロは、ユーロ圏における感染拡大が深刻な状況となっており、景気減速が避けられない状況と考えられ、上値が重い推移が続いています。

 今週も引き続き新型コロナウイルスの感染拡大に関する報道が話題の中心となりそうです。本邦でも感染者拡大ペースが速まっており、緊急事態宣言の発令が行われるとの報道が出ており、注目が集まります。

 また、欧州を中心に週末からイースター休暇となるため、徐々に市場参加者が減り、流動性が低下するため、値動きが荒くなる可能性が考えられます。お取引を行う際は十分な注意が必要となりそうです。

 ドル円は上値余地あり

 では、世界中に顧客を持つ外国為替証拠金取引(FX)会社のOANDA(オアンダ)が提供するオーダーブックで外国為替市場の動向を探ってみましょう。

 オーダーブックはOANDAの顧客の取引状況を公開したデータです。顧客の保有しているポジションの取得価格の水準(縦軸)と割合(横軸)を示す「オープンポジション」と、顧客の未約定の注文の価格水準(縦軸)と割合(横軸)を示す「オープンオーダー」の2種類のデータから成ります。

 ちなみに、ある通貨を買っている状態を「買いポジション」、売っている状態を「売りポジション」といいます。買いポジションを保有している場合、その通貨の価格が取得価格から上昇したら収益が上がり、逆に下落すると損失が発生します。売りポジションを保有している場合は、取得価格から下落すると収益が上がり、上昇すると損失が発生します。FXでは、それぞれのポジションとは反対の売買を行って決済(損益の確定)をする仕組みとなっているからです。

 先週のドル円は、序盤こそ上値の重い推移となりましたが、後半は反発に転じ、1米ドル=108円70銭付近まで上昇する動きとなりました。

 OANDAのオープンポジションを見ると、直近の反発により、含み損を抱えた売りポジションが増加しており、高値を切り上げる動きとなると、これらの売りポジション保有者の損切り(損失の拡大を防ぐための決済取引)の買いが増え、上昇が勢いづく可能性が考えられるため、上昇余地は十分に残されているように見えます。

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