終活の経済学

死後の手続き(4)健保・年金・行政 (2/2ページ)

 保険証の返却と併せて、やっておきたいことが2つある。1つ目は葬儀費用の一部が健康保険から支給される「葬祭費・埋葬料」の申請だ。

 「葬祭費」は、国民健康保険と後期高齢者医療制度の被保険者が死亡した際、葬儀を行った人が申請すると支給される。ただ、金額は市区町村で異なる。東京都内でも23区が7万円、市町村が5万円(伊豆諸島の御蔵島村、青ヶ島村、小笠原村は3万円)とばらつく。大阪、横浜、福岡市なども5万円。もっと少ない市町村もある。喪主が葬儀の領収書などを添えて申請する。

 「埋葬料」は、健康保険組合や協会けんぽなどの被保険者が死亡した場合、故人に生計を維持されていて埋葬を行った人に、一律5万円が支払われる。数万円~数十万円の埋葬料付加金を支給する組合もある。勤務先の人などでも、実際に埋葬を行っていれば5万円以内で実費が支給される。

 厚生労働省保険課によると、「埋葬」とは、納骨だけでなく、葬儀や火葬も含む葬送全般を指す。被保険者の被扶養者が亡くなった場合も、家族埋葬料(5万円)が支払われる。申請には、葬儀や火葬の実費(参列者への香典返しなどは除く)の領収書を添付する。

 葬祭費も埋葬料も、申請期間は執り行った翌日から2年以内。後回しにして忘れてしまう人も多いという。要注意だ。

 高額療養費は請求可

 生前の医療費が高額になり、健康保険の「自己負担限度額」を上回る窓口負担(保険適用の医療費に限る)があった場合、死亡後でも超過分を払い戻してもらえる。国保や高齢者医療保険制度に加入していた場合は故人が住んでいた市町村役場へ、会社員などの場合は健康保険組合や協会けんぽへ、相続人や代理人が請求する。申請書、故人との関係を示す戸籍謄本(法定相続情報一覧図の写しも可)が必要だ。

 こちらも申請期間は診療月の翌月から2年以内。医療費の通知後に申請するので、保険証返却と同時には難しいかもしれないが、忘れないようにしたい。

 世帯主の死亡時は 速やかに「変更届」

 市町村役場に死後14日以内に行わねばならない手続きでは、世帯主が亡くなったときの「世帯主変更届」も重要だ。死亡届と同時に行うなど、迅速な対応が望ましい。

 自営業などで、故人のほかにも国民健康保険に加入している家族がいる場合は、世帯主を書き換えた新しい健康保険証を発行してもらう必要がある。加入者全員の保険証を持って手続きするとスムーズだ。

 住民基本台帳法によると、同じ世帯の家族(世帯員)のうち、「15歳以上」なら誰でも世帯主になれる。該当者が1人しかいない世帯なら、手続きは不要だ。「ふたり暮らしの夫を亡くした妻」「妻と小学生の子供3人」といった世帯だ。

 一方、「妻と17歳の娘」のような世帯は、妻と娘が世帯主の該当者なので、どちらに変更するか届け出が必要になる。

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