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コロナ禍で全国のエンゲル係数減少 それでも大阪は「上昇」の怪 (2/2ページ)

 これまでも大阪市のエンゲル係数は記録が残る平成12年の23・9%から徐々に増加し、28年には過去最高となる29・8%を記録。令和元年は26・5%で、都道府県庁所在市別では仙台市(26・9%)に次ぎ、那覇市と並ぶ2位タイとなっていた。

 「大阪は外で食べることを娯楽ととらえ、食事を楽しむ文化が他の自治体よりも根付いている」。そう説明する大藪氏は、大阪で起きている現象について「詳細な原因は細かく分析しないとわからない」とした上で、「自宅で自炊をしたり、デリバリーを利用したりする際にも、節約より『おいしいものを』という意識が働いていた可能性は考えられる」としている。

 新型コロナと共存する生活は当面続く。エンゲル係数は今後、どう変化するのか。

 大藪氏は、14日に緊急事態宣言が解除された39県では、県民らがこれまで控えていた外食を利用するようになり、夏ごろまでエンゲル係数は増える可能性があるとみている。

 さらに長期的にみれば、非正規雇用者が多い外食業やサービス業、フリーランスを中心に収入が減少することは避けられず、エンゲル係数の上昇トレンドは続くことになる。

 一方、生活の困窮が続くと、今度は食費が切り詰める支出の筆頭になりがちでエンゲル係数は再減少する。大藪氏は「わずか数カ月の間に相次いで企業が倒産するコロナ禍の状況で、国民一人一人が家計における食費のバランスを見直す機会になるのではないか」と話している。

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