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知らない会社員は損をする 税と社会保険と会社の制度 (1/2ページ)

鈴木暁子
鈴木暁子

 源泉徴収票を捨ててしまう会社員

 毎年年初に送られてくる源泉徴収票。企業内での相談で、参考資料として源泉徴収票があれば持参してほしいと依頼すると、捨ててしまったという方が意外と多いのですが、皆さんはいかがですか?

 実は筆者にも会社員時代があり、当時はちらっと見て捨てていました。そもそも使うことがなかったので用途もわからず、せいぜい年収と源泉所得税額を確認し、「こんなに税金を納めていたのか」としか思わなかったからです。ちなみに源泉徴収税額が納めた税額ではなく、年末調整で過不足を調整した税額であることもしばらくしてから知ったくらいです。

 初めてじっくり源泉徴収票と向き合ったのは、夫の不動産所得の申告のためでした。マンションを購入したもののほどなく転勤となり、やむなく賃貸に出して得た不動産所得ですが、会社の同僚に「所得が増えると税金が増えるから申告しないほうが良い」と言われ、申告していなかったとのこと。結婚後にそのことを聞いた私が、それはマズイだろうと申告をしたところ、所得税が増えるどころか還付になったのです。還付が嬉しかったのはもちろんですが、所得税が決まるしくみを理解したことで源泉徴収票の中身も意義も納得できたのです。

 税のしくみがわからなければ節税などできない

 企業内での相談でも、何か良い節税の方法があるかとよく質問されますが、実はけっこう難しいと思っています。ご存知のように、所得税は給与収入すべてではなく、課税所得(税がかかる対象となる所得)に対してかかるものです。所得が圧縮されれば当然所得税も少なくなりますが、さまざまな経費を計上できる自営業者と違い、会社員は社内処理で精算するので、基本的には個人の経費計上という概念がほとんどありません。つまり圧縮しづらいのです。会社員の場合、所得税が決まるまでの概要は以下のような流れです。

 まず「給与収入」から、自営業者の経費にあたるものの代わりに、会社員の経費ともいわれる給与所得控除が一定額差し引かれます。これは収入に応じて決まった計算式で算出されます。この段階が「給与所得」です。次にここから各種所得控除を差し引きます。社会保険料控除のほか、よく使われる控除として、生命保険など保険料の支払いがある場合に使える生命保険料控除、ふるさと納税をした際に使える寄附金控除、医療費が一定額を超えた場合に使える医療費控除、扶養配偶者がいれば配偶者控除などがあります。これらを差し引いたものが「課税所得」であり、これに所得税率を乗じて所得税額を算出します。つまり会社員が誰でもできる節税というと、所得控除の活用くらいしかないのですが、今一つ使いこなせていない方も多いようです。

 保険の契約者を妻に変更してみると…

 保険の見直しの相談にみえた従業員の方の保険証券を拝見したところ、すべて契約者は本人(夫)でした。扶養配偶者がいればよくあるケースです。ところが妻の収入は200万円ちょっと(所得ベースでは200万円未満)。子どもも手を離れ時間もできたので、一昨年前から働きに出るようになったとのこと。つまり妻も納税者になったわけですが、妻が被保険者(保障の対象者)の医療保険とがん保険を、妻を契約者に変更すればこのケースでは所得控除が4万円増えます。夫の保険料控除枠の上限いっぱいまでしか活用できないところ、妻の枠を活用することで世帯での所得控除枠が増えるからです。

 同様に、この世帯では医療費は8万4000円程度だったので医療費控除の申請をしなかったそうですが、10万円の基準は総所得が200万円以上の場合。200万円未満であれば、総所得金額×5%を超えた分について申告できます。これも妻が申告すればこのケースでは約5万2000円所得控除できます。

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