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地方競馬、ネットに活路 無観客でも売り上げ堅調

 新型コロナウイルス感染拡大の影響で、公営競技の無観客開催が続いている。オートレースやボートレースの売り上げが落ち込む一方で、健闘しているのが地方競馬だ。「巣ごもり生活」の定着を背景に、インターネットでの馬券発売が注目され、従来の競馬ファン以外にも浸透し始めているようだ。

 さいたま市南区の浦和競馬場は、3月から無観客で競技が開催されている。昨年11月に開かれた地方競馬の祭典「JBC競走」では、収容人数ぎりぎりの約3万人が詰めかけて熱気に包まれたが、今は競走馬がダートを疾走する音だけが静かに響く。

 異例の状況を嘆くファンは少なくないが、埼玉県浦和競馬組合によると、今年4月20~24日の売り上げは1日当たり約11億円で、前年同期から約12%の減少にとどまった。組合の担当者は「1日の売り上げが10億円を超えることは平時でも珍しい。かなり好調といえるのではないか」と話す。

 日本中央競馬会(JRA)のネット投票で地方の馬券も買えることもあり、地方競馬全体で見ても売り上げは堅調という。

 ネット投票サービスの「SPAT4」を運営する関東地方公営競馬協議会によると、サービスの4月の新規加入者数は約1万5000人で、2月(約4000人)の4倍近くに急増した。コロナ禍を奇貨として、スマホ世代などの新たなファンの獲得につながっているようだ。

 とはいえ、無人のスタンドにファンファーレだけが響く様子はどこか物寂しい。

 競馬歴20年という埼玉県上尾市の男性会社員(42)は29日、再開されているかもしれないと思って浦和競馬場に足を運んだ後、「やはり生で観戦しなければ真剣勝負にならない」。

 競馬場の60代の男性警備員も「無人のレースは味気ない。ファンの声援があってこそ、騎手や馬もやる気が出るのではないか」と語った。

(竹之内秀介)

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