5時から作家塾

スマホ・パソコン不要 オンライン帰省の便利な味方 (2/2ページ)

吉田由紀子
吉田由紀子

 「私は兵庫県の淡路島出身です。子どもの頃から祖父母、両親の3世代で暮らしていました。ですので、おじいちゃんおばあちゃん子なのです。しかし、仕事を始めてからは忙しくて、子どもたちを連れて帰省できない状態でした。実家にパソコンを設置し、テレビにつないで写真や動画を送ってみたこともありましたが、実家はうまく使いこなせなかったのです。あと何回、我が子を会わせられるだろうかと思った時に、なんとかできないかと考え始め、高齢者にも簡単に使ってもらえる方法を試行錯誤していきました」

 「もっとライトなサービスはできないだろうか」

 こんな経緯で誕生したサービスだが、昨年12月には警備会社セコムと協働で開発した「まごチャンネルwith SECOM」という新たな事業に乗り出している。

 これは、まごチャンネルの受信ボックスに環境センサーを接続し、実家の状況を把握するサービスだ。室内の温度や湿度、生活音、照度を感知して記録していく。受信側のスマホには、「起きたようです」「寝たようです」といった通知が届くため、離れていても実家の状態がわかる仕組みになっている。温度や湿度の急激な変化や熱中症の注意喚起もスマホに通知してくれる。

 「ユーザーさんから『見始めました』通知が安否確認に役立っているという声があり、まごチャンネルに見守りサービスを搭載できないかと考えていました。そんな折、東京都のアクセラレーションプログラムで知り合ったセコムさんが声をかけてくれたのです。セコムさんは緊急時に警備員が駆けつけるサービスが主力です。見守りサービスに関心を寄せる方が大勢いるにも関わらず、既存のサービスは専用の機器の設置を伴ったり、『まだ駆けつけサービスは早い』と、一般家庭では二の足を踏んでしまう。そんな潜在顧客に向けて、もっとライトなサービスはできないだろうかと模索していたタイミングでした」

 両社の方針が合致して、新たな見守り事業につながったのである。このサービスは注目を集め、2月には東京都が主催する「ダイバーシティTOKYO アプリアワード」で最優秀賞を受賞している。また、5月から東京の渋谷区では、新型コロナウイルス感染症拡大防止に向けた区民のSTAY HOMEの推進の一環として、このサービスを無償で住民に提供している。外出自粛ムードが続く中、実家とのコミュニケーションを促進するための支援策である。

 「距離も時間も超えて、大切な人を近くする(知覚できる)世界を創る」をミッションに掲げる株式会社チカク。高齢者でもデジタルの恩恵を得られる社会の実現に向けて、新しいサービスを構想しているところだ。(吉田由紀子/5時から作家塾(R)

5時から作家塾(R)
5時から作家塾(R) 編集ディレクター&ライター集団
1999年1月、著者デビュー志願者を支援することを目的に、書籍プロデューサー、ライター、ISEZE_BOOKへの書評寄稿者などから成るグループとして発足。その後、現在の代表である吉田克己の独立・起業に伴い、2002年4月にNPO法人化。現在は、Webサイトのコーナー企画、コンテンツ提供、原稿執筆など、編集ディレクター&ライター集団として活動中。

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