新時代のマネー戦略

積立はなぜ「ひし形」が良いのか 家計を動かす収入エンジンの見直し方 (3/3ページ)

井上信一
井上信一

 ポイント:8つのリスクをモレやムダなく考える

 「保険収入」を考える際に選ぶ金融商品は生命保険や損害保険などです。

 選び方のポイントとして、既に準備済みの「保険収入」のメインである公的社会保険(年金や健康保険など)や会社の保障では不足する分をカバーするのですが、そもそもどのような有事が想定されるのか考えることが大切です。そこで、家計における有事(リスク)を8つに整理しました。

 どのリスクを優先すべきか、準備済みの公的社会保険などの状況や個々のライフステージによって異なりますが、どのような有事(リスク)が身に降りかかるのかは誰にも予想はできません。モレなくムダなくバランスよく準備しておくのが肝要です。

 新たな収入を、支出や貯えからつくりだす

 お金の「使い上手は、貯め上手」とはよくいいますが、実は「調達上手」でもあります。

 大きなお金を支出する(せざるを得ない)場合、その時にたまたまある貯えから取り崩すことを考えがちですが、この発想だと旅行のような楽しみをセーブしたり、老後資金のように一体いくらあれば十分なのか不安になったりするものです。

 そうではなく、その時に「その使途を賄うための新たな収入が入ってくる仕組み」を持つことが、新時代のマネー戦略の発想です。

 「収入-支出=貯蓄」ではなく、支出も貯蓄も将来に必要な時の収入になり得るのです。

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【ゼロクーポン債】 償還(満期)金の額より割り引かれた額で購入する債券。その代り半年ごと等の利息(クーポン)がないためゼロクーポン債とも呼ばれる。日本で発行される割引債は個人では投資できないため、選択肢としては外貨建ての外国債券となる。購入する際の割引率は様々だが、一般的に償還(満期)までの期間が長いほど割引率が大きい。

井上信一(いのうえ・しんいち)
井上信一(いのうえ・しんいち) ファイナンシャル・プランナー CFP(R)認定者
価値生活研究室 代表
10年強に渡るFP事業会社等での経験を経て2010年に独立。以来、「誰でもライフプランに基づくキャッシュフローを自分で作れる世の中へ。FPの仕事はその先」をモットーに、企業や労組の福利厚生支援やセミナー・個別相談・情報発信等に従事。主な著書に「保険設計ベスト事例集」(きんざい)等。また、地域の権利擁護事業を通した福祉活動も活発におこなっており、成年後見人としても受任中。

【新時代のマネー戦略】は、FPなどのお金プロが、変化の激しい時代の家計防衛術や資産形成を提案する連載コラムです。毎月第2・第4金曜日に掲載します。アーカイブはこちら

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