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ルイジアナ州の妊娠中絶規制は違法と判断 米最高裁 

 【ワシントン=黒瀬悦成】米連邦最高裁は29日、人工妊娠中絶を大幅に規制する南部ルイジアナ州法を認めず無効とする判断を下した。妊娠中絶をめぐっては、最高裁が1973年の「ロー対ウェード」裁判で合憲との歴史的判断を下しており、同判断との整合性が問われていた。

 人工妊娠中絶の権利をめぐっては、リベラル派が支持する一方で保守派は反対し、世論が二分している。保守層を支持基盤とするトランプ大統領は妊娠中絶の規制強化を掲げてきた。

 現在の最高裁判事の構成は保守派5人、リベラル派4人。このため、規制を支持する判断が下される可能性もあるとして注目されたが、保守派のロバーツ長官が、最高裁が2016年に南部テキサス州の同種の州法を無効と判断した先例があるとして、リベラル派4人とともにルイジアナ州法も無効と判断した。

 ルイジアナ州法は中絶手術を実施する診療所の医師に対し、手術で問題が生じた場合、周辺30マイル(約48キロ)内の病院に患者を引き受けてもらう「入院特権」と呼ばれる協定を結ぶことを義務付けた。

 しかし保守層が多い同州では協定の締結を拒否する病院が多く、1人の医師が1万人以上の中絶希望者に対応する状況が生じているとされる。最高裁は昨年2月、州法の施行を一時差し止めていた。

 ホワイトハウスは29日、声明で「残念な判決だ。州には中絶を含む医療手続きの規則を定める権限がある」と主張した。

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