受験指導の現場から

算数・数学はいつ役に立つ? 人生に立ちはだかるSPIというハードル (2/2ページ)

吉田克己
吉田克己

 中学受験・受検は就活時の一次選考に直結する

 大学に入るまで算数(数学)を避け続けられたとしても、世間(大人の世界)はやはり甘くない。人生前半の「ホップ(中・高受験)⇒ステップ(大学進学)⇒ジャンプ(就職)」のジャンプのところに、最初のハードル として算数(数学)が待ち受けているということだ。

 何のために中学受験・受検をするのか? いまひとつその気になれない小・中学生に聞かれたことがある大人は少なくないだろう。さすがに、自ら進んで塾に通ってくる子だと滅多にはないが、筆者も家庭教師先の生徒や知人の子どもに尋ねられたことはある。

 ビジネス書としても有名な『7つの習慣』(まんが版も刊行されていて、高校受験前の生徒に薦めたこともある)に“先にゴールを決めよ”という箴言がある。本稿で言う「ゴール」とは、中・高校入試(ホップ)や大学入試(ステップ)での成功ではなく、仕事に就くことであり社会人になることである。

 修了後に就きたい職業が朧気ながらでも描けていて、学力が中くらいの生徒であれば、算数・数学を学ぶ重要性の一つとしてSPIを引き合いにしてもよいかもしれない。「その仕事に就きたいのであれば、このレベルのテスト(SPI)で9割はとれるようにならないとね」と。ただし、学力の高い生徒だと、「なんだ、楽勝じゃん」「なんや、楽勝やん」と嘗めてかかられてしまって、逆効果になる懸念はある。

 我が子とは、もっと“ゴール”の話をしよう

 入試はあくまでも通過点である。その点を見失ってしまっている親はけっして少なくない。我が子が、たとえ有名大学に入れたとしても、就職・就業がうまくいかず引きこもってしまったりすれば、子育ては「終わりよければ全てよし」の真逆で幕を閉じることになってしまう。

 家庭内で子どもと話をするときは、勉強や成績、目前の受験の話ばかりするのではなく、我が子の人生前半の“ゴール”について、一緒に想像を膨らませてみてはどうだろうか。

 親と遠くの目標を共有できた受験生は、もう一段、強くなれる。

京都大学工学部卒。株式会社リクルートを経て2002年3月に独立。産業能率大学通信講座「『週刊ダイヤモンド』でビジネストレンドを読む」(小論文)講師、近畿大学工学部非常勤講師。日頃は小~高校生の受験指導(理数系科目)に携わっている。「ダイヤモンド・オンライン」でも記事の企画編集・執筆に携わるほか、各種活字メディアの編集・制作ディレクターを務める。編・著書に『三国志で学ぶランチェスターの法則』『シェールガス革命とは何か』『元素変換現代版<錬金術>のフロンティア』ほか。

受験指導の現場から】は、吉田克己さんが日々受験を志す生徒に接している現場実感に照らし、教育に関する様々な情報をお届けする連載コラムです。受験生予備軍をもつ家庭を応援します。更新は原則第1水曜日。アーカイブはこちら

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