乗るログ

日本人が内装手掛けたルノー・メガーヌGT 四輪操舵で走りと快適性を両立 (3/3ページ)

SankeiBiz編集部

 日本人の手によるインテリア

 日本人デザイナーが手掛けたインテリアは上質さとスポーティーさを巧みに調和させている。面を立てたダッシュボードや短いギアシフトレバー、高さのあるセンターコンソールはワンランク上の雰囲気を纏っている。スエードのような優しい手触りのアルカンターラ縫製スポーツシートは体が滑りづらく、ホールド性もばっちり。ステアリングコラムに固定された長いパドルシフトは、ハンドルを大きく切っている最中でも指に掛かりやすく、MTモード時でも素早い変速が可能だ。センタークラスターにはタッチパネル式の横置き7インチモニターを埋め込んでいるが、インパネは全体的にスカスカな印象。実はこれ、本国フランスでは8.7インチのタテ型ディスプレイをインパネ全体に組み込んでいるのだが、日本では諸々の事情があってタテ型モニターもナビゲーションシステムも採用されなかったのだという。幸いにもスマートフォンをつなげばアップルの「カープレイ」やグーグルの「アンドロイド・オート」からナビを使用できるのだが、使用場所の電波状況や、そもそも「スマホを持っていない」といったユーザーにとっては多大な不便を感じてしまうだろう。

 コスパの高さも魅力的

 さて、新型GTのもう一つの魅力はコストパフォーマンスの高さだろう。エンジン出力などの基本性能を考慮すると334万円(※2020年現在は346万円~)のGTにはお買い得感がある。ハイパフォーマンスの走行性能はもちろん、5ドアの使い勝手や走行中の快適性など、日常での扱いやすさも兼ね備えている。唯一気になったのは、ドイツ勢や日本車がこの価格帯で当たり前に装備するアダプティブ・クルーズコントロール(ACC=前走車自動追従装置)がGTにはない、ということ。せっかくミリ波レーダーを使った「車間距離警報」を搭載しているのに、なぜそれを活用しないのか-。これはもしかするとお国柄の違いの表れで、「走りを楽しむのにACCなんぞ必要ない」「自分がいらない装備は極力省く」といった考え方が働いているのかもしれない。実際、同じフランスのプジョーやイタリアのアルファロメオもこのクラスではACCは未搭載だ。

 R.S.が買えなくてもGTで十分!?

 ちなみに前出の最高峰モデル「メガーヌR.S.」は、スポーツカー開発の“聖地”ドイツ・ニュルブルクリンク北コースにおいて、絶対的ライバルのゴルフGTIやホンダ・シビックTYPE Rと常に量産FF車の最速の座を競っている。今回の試乗に同乗した小島記者から「メガーヌGTはゴルフのハイラインでは物足りないユーザーに需要がありそう。というか、これならR.S.いらないじゃん」といった意見もあった(←もちろん半分冗談だとは思いますけどね)。筆者もGTに乗ってみて「やっぱり運転って、スポーツなんだな」と改めて実感した。確かに450万円以上のスパルタンなR.S.に手が届かなくても、「スポーティーで快適性もあるGTで十分じゃん」なんて思えてしまうほど最高に楽しくて魅力に溢れるスポーツハッチだった。今回は撮影に時間を割かれたので、できれば「もう一度借り出してじっくりと乗ってみたい!」なんて後ろ髪を引かれる思いでGTのエンジンを切った。

【乗るログ】(※旧「試乗インプレ」)は、編集部のクルマ好き記者たちが国内外の注目車種を試乗する連載コラムです。更新は原則隔週土曜日。アーカイブはこちら

Recommend

Ranking

アクセスランキング

Biz Plus