受験指導の現場から

脱地銀の波 公務員を狙うなら数学を疎かにしてはいけない (1/2ページ)

吉田克己
吉田克己

 仄聞するところによると、地銀をはじめとする銀行に新卒で就職した若手が、同じ地域の地方公務員に転職する流れが強まっているらしい。

 かつてなら、地方の財界の中核を担っている(重要ポストを占めている)のは、地銀、新聞社(放送局)、電力会社と相場が決まっていたが、地域での存在感や若者の意識の面では、随分と様変わりしているようだ。

 転職の動機には、「ノルマがキツイ」「上司からのプレッシャーなどの人間関係がしんどい」「隠れ残業や闇出勤があってワークライフバランスがよくない」「将来のリストラが心配」といった、ネガティブ(消去法的)な理由も少なくはないようだが、本稿ではむしろ、次のようなポジティブな動機に注目したい。

地域貢献を仕事にしたくて地銀にUターン就職したものの、仕事を通じての地域貢献の機会がない。有給を取って地元のボランティアに参加しようとしても、「仕事を覚えてからやることでしょ」と否定され…といった現実を前にして退職を決意。即座に公務員試験の勉強に取り掛かり、翌年に合格。現在は地元で公務員としてさまざまな地域貢献活動に参加できている。

 これは人事コンサルタントである元後輩が見聞きし、経済情報サイトに寄稿していた経験談だ。そう、今回のテーマは公務員試験である。

 避けて通れない公務員試験とは

 じつは筆者、今年度から某大学・短大で、地方公務員試験受験予定者を対象とした課外講座(1校2コース)を受け持っている。科目は「数的処理」である。

 地方公務員試験は、自治体ごとにその出題傾向や解答時間、配点などに細かな異同が多いため、以下、標準的な公務員試験として、国家一般職及び地方上級の行政事務職を念頭に話を進める。

 公務員試験は、「教養択一」「専門択一」「論文」からなる1次試験(筆記)と「面接」による2次試験(人物)の2段階選考で実施されるのが一般的である。

 「教養択一」は、大きく一般知能と一般知識に分かれているが、数・国・英・社・理の基礎能力(高校課程レベル)を問われる。「専門択一」は、大まかに法律系・経済系・政治系・その他の4系統から成り、大学の専門課程レベルの知識を問われる。なかには、1次試験に「口述」または「集団面接」が含まれていたり、「論文」が2次試験のほうに含まれていたりする地方公務員試験もある。

 【教養択一試験を構成する主な教養科目】

 国家公務員の技術職・国税専門官・労働基準監督官、地方上級の技術職など、専門性の高い職種になると、「論文」ではなく「専門技術試験」が課されるが(これが難しい!)、一般的に、「教養択一」「専門択一」「論文」の3科目を押さえられれば、省庁の職員や都道府県庁の職員など、幅広く併願が可能になる。

 一方、1次試験の3つの試験種目、「教養択一」「専門択一」「論文」の配点は、かなりまちまちである。例えば、国家一般職では2:4:1、埼玉県では1:1:1、愛知県では3:6:2、…といった具合である(東京都や大阪府など、未公表な都道府県もある)。

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