教育・子育て

冷房なし、食中毒にも警戒…真夏の登校でコロナ対策模索

 新型コロナウイルスによる休校で生じた学習の遅れを取り戻すため、多くの学校が夏休みを短縮して授業を進めている。感染症対策のみならず、熱中症対策との両立が求められ、暑さで子供たちの集中力低下も危惧される。学校給食の提供には食中毒への警戒も必要だ。教育現場は数多くのリスクと対峙しながら、真夏の学校生活のあり方を模索している。

 9月以降も残暑

 「生徒にマスクを外させるのも心配だが、熱中症も怖い。授業の遅れを取り戻すため、休日の捻出も難しい」。長野県松本市立清水中の橋倉美奈子教頭はこう不安を募らせる。

 夏休み短縮に伴い20日から授業が再開する。教室に扇風機はあるが、冷房は未設置。体操服での活動や授業時間の短縮といった工夫で乗り切る方針だという。

 気象庁によると、東日本や西日本では9月の気温も「平年より高い」と予想され、厳しい残暑が見込まれる。仙台市では市立小36校で教室に大型冷房の設置が間に合わず、家庭用で代用。順次付け替えるが、8月末までに終えるのは難しく、「学校現場の工夫に頼るしかない」(市教委)。

 文部科学省の資料によると、昨年度に学校で発生した熱中症事故は速報値で5千件を超えている。熱中症のなりやすさを示す「暑さ指数(WBGT)」の活用など対策が不可欠となる。

 サマータイム導入

 独自の取り組みを進める学校現場も多い。宮城県大和(たいわ)町立小は登校時間を早める「サマータイム」を導入。授業時間も短縮し、5時間目を終えても正午過ぎに下校できるようにした。

 愛知県犬山市教委は通学路に「給水ポイント」を指定。公園などで教職員らが水分補給を呼びかける。埼玉県熊谷市立小中では日差しを避けるため、登下校時に傘をさすよう指導。市教委の担当者は「子供同士の距離確保にもなっている」と話す。

 兵庫県稲美町も小学生に傘を配布し、自宅が遠い児童はバスで下校させる。大阪府箕面市立小中ではインターネット環境がない家庭に端末を貸し出し、双方向のオンライン授業の導入で登校せずに済ませている。

 文科省は子供の体調に応じてマスクを外すよう学校側に通知しているが、森ノ宮医療大の松尾浩希助教(傷害予防)は「授業を通じて児童生徒に意識を身に付けさせ、自助の力を定着させることが課題だ」と指摘する。

 集中力低下も懸念

 暑さによる食中毒にも注意が必要となる。文科省によると、この期間に授業を行う自治体の9割以上が学校給食を実施。同省は都道府県教委を通じて学校側に衛生管理の徹底を求めた。

 栃木県真岡(もおか)市の小中学校に約6千食を提供する「第1学校給食センター」では、品数を減らすことで提供までの時間を短縮。例えば、サラダを調理場で味付けせず、小袋のドレッシングで対応するなどして食中毒防止につなげている。

 暑さは集中力低下に伴う学力への影響も懸念される。首都圏にある公立小の女性教諭は「授業に取り残されてしまう子供が出ては本末転倒。授業内容が定着しているかどうかを丁寧に確認していく必要がある」と警戒。千葉大教育学部教授で同学部付属中校長の藤川大祐氏は「制服の着用厳守や授業中の水分補給禁止などの校則を課す学校もある。子供のストレス低減の観点からも暑さ対策には合理性が重要で、柔軟な対応が求められる」と話した。

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