試乗スケッチ

SUVには真似できない走り ツーリングワゴン復権狙う新型レヴォーグ (2/2ページ)

木下隆之
木下隆之

 レヴォーグ最大の特徴とは

 排気量アップの恩恵は明らかで、中回転域のトルク感は力強い。いかにもターボ過給を意識できるトルクフィールは、マニアにはたまらない感覚だろう。高回転のパンチは控えめだが、低中速域ではモリモリとした頼もしい突進力を披露するのだ。だが、レヴォーグの最大の特徴は、動力性能にはない。切れ味の鋭いハンドリングこそ、レヴォーグがSUVに対抗する武器なのだ。

 ボディのねじり剛性を44%も高めているというから驚きである。しかもサスペンションストロークを、フロントで25%、リアでも5~10%もロング化されているのだ。それによって、圧倒的なスタビリティを得ることになった。

 それでいて、2ピニオンの電動パワーステアリングを開発し、フロントのジオメトリーを改善、ステア初期から驚くほどの切れ味を発揮する。じっくりおだかやにステアリングを切り込んだにもかかわらず、けして軽くはないノーズがビクンビクンと驚いたように反応する。コーナリング中のハンドル切り増しでも、応答遅れすることない。半端なスポーツカーなど尻尾を巻いて逃げ去るかのような鋭さなのだ。

 実はこのインプレッションは、高級仕様とも言える「GT-H」でのことである。さらにスポーティな仕様の「STi スポーツ」は、ドライビングモード切り替えが可能であり、「コンフォート」から「スポーツ+」まで、好みや気分に合わせてアジャストできる。それを、もっとも元気な「スポーツ+」にセットすると、AWDの駆動力配分が、減速時でさえリア寄りに作用する。旋回ブレーキングでさえ、ノーズが反応するというキレキレ度合いである。

 サスペンションは比較的高く締め上げられてもいる。上質な乗り味ではないが、スバルが宿している走りの魂は一点の曇りもない。それこそ、ツーリングワゴンの復権かのような気がする。SUVには真似のできないスポーツ性能こそ、レヴォーグが秘めている最大の武器なのだ。

 さらに進化したアイサイトXや数々の衝突安全など、新型レヴォーグには紹介したい機能が山ほど詰め込まれている。だが、走り始めるやいなや、僕に強い衝撃を与えたのは、そのスポーティなフットワークのことだった。

木下隆之(きのした・たかゆき)
木下隆之(きのした・たかゆき) レーシングドライバー/自動車評論家
ブランドアドバイザー/ドライビングディレクター
東京都出身。明治学院大学卒業。出版社編集部勤務を経て独立。国内外のトップカテゴリーで優勝多数。スーパー耐久最多勝記録保持。ニュルブルクリンク24時間(ドイツ)日本人最高位、最多出場記録更新中。雑誌/Webで連載コラム多数。CM等のドライビングディレクター、イベントを企画するなどクリエイティブ業務多数。クルマ好きの青春を綴った「ジェイズな奴ら」(ネコ・バプリッシング)、経済書「豊田章男の人間力」(学研パブリッシング)等を上梓。日本カー・オブ・ザ・イヤー選考委員。日本自動車ジャーナリスト協会会員。

【試乗スケッチ】は、レーシングドライバーで自動車評論家の木下隆之さんが、今話題の興味深いクルマを紹介する試乗コラムです。更新は原則隔週火曜日。アーカイブはこちら。木下さんがSankeiBizで好評連載中のコラム【クルマ三昧】こちらからどうぞ。

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