教育・子育て

修学旅行が中止や日帰りに「大事な思い出が1つ…」 コロナ禍で秋に延期も (1/2ページ)

 学校生活での大きなイベントとなる修学旅行への新型コロナウイルスの影響が続いている。例年、実施校が集中する5~6月の春のシーズンは休校となっていたため、秋に延期していた学校も多かったが、感染状況が見通せない中で中止を決めたり、日帰り旅行に変更したりするケースも出ており、各校は対応に追われている。(地主明世)

 「密」避けられず

 「大事な思い出が1つ無くなってしまった」

 先月行くはずだった沖縄県への修学旅行が中止となった大阪府茨木市立中3年の男子生徒(14)の落胆は大きかった。「こんな状況では当たり前、と気持ちを切り替えるしかない」

 府内では同市や豊中市など複数の自治体で、小、中学校の修学旅行中止を決めた。市立中のみ中止とした八尾市は実施断念の理由として長時間の移動や入浴、就寝などで生徒の密着が予想されることをあげ、「生徒の気持ちを思うと苦渋の決断。宿泊だと『密』が避けられず、リスクが大きくなりすぎる」(担当者)という。

 修学旅行の代替案として広島や長崎、沖縄など定番の行き先から近距離の近畿圏への日帰り旅行に変更した市も。全くの中止ではないことを喜ぶ子供も多いが、1泊2日の広島行きが府内のテーマパークに変更された東大阪市立小6年の女児(11)は「6年間一緒に過ごした友達との最後の大きなイベント。本当は泊まりがよかった」と心残りも口にした。

 修学旅行は、普段とは異なる環境で集団生活や公衆道徳などを体験する特別活動で、学習指導要領にも位置付けられている。文部科学省は7月末、可能な限り中止にせず、近距離での実施や旅行日程の短縮といった変更を検討するよう各都道府県に通知した。

 神戸市教委は各校に1学期から2学期への延期を求め、実施については保護者の9割以上の同意を得ることや、4週間前までに実施願を提出することなどを条件としている。担当者は「一生に一度の大切な行事。できるだけ実施したいが、強制して感染を広げるわけにもいかない」と複雑な胸中を打ち明けた。

 キャンセル続く

 春の観光シーズンに大きな打撃を受けた観光地では、客足回復に向けた対策が進む。京都市は修学旅行生専用の電話相談窓口を設置。PCR検査の結果を待つ待機場所や、陽性だった場合に保護者と生徒が連絡を取り合うためのスマートフォンの貸し出しも行う。

 奈良市も先月から修学旅行生1人当たり2千円を支給する支援策を打ち出し、修学旅行を中止にした学校に、奈良を感じられる商品を「お土産」として送ることを検討する。

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