受験指導の現場から

東京で年収500万円VS地方で年収600万円 大学受験に懸けなくもいい職業 (1/2ページ)

吉田克己
吉田克己

 今年になって、公務員の人気が高まっているらしい。なぜか? 近々、公務員の給料が上がるとか、男性公務員にモテ期が訪れた―といったことではない。いや、ひょっとすると、近い将来、モテ期はやってくるかもしれない。

 不況期にはよく見られる現象ではあるが、就職先としての公務員人気が上がっているというのだ。

 リンクモンスター社が来春卒業予定の大学生を対象に行った「就職したい企業・業種ランキング調査」によると、1位:「地方公務員」(回答率26.7%)、2位:「国家公務員」(同16.8%)となっている。また、LINEリサーチによる「高校生のなりたい職業ランキング」によると、女子高校生では、1位:「看護師」(7.5%)、2位「教師・教員・大学教授」(6.9%)、3位「国家公務員・地方公務員」(5.8%)、男子高校生では、1位「国家公務員・地方公務員」(6.7%)などとなっている。

 そして驚くなかれ、いやこのご時勢、むしろ当然か、クラレ社が4月に発表した「新小学1年生の将来就きたい職業 親の就かせたい職業」によると、親が男の子に就かせたい職業では、1位:「公務員」(19.8%)、2位:「医師」(8.6%)、3位:「会社員」(8.2%)…、親が女の子に就かせたい職業では、1位:「看護師」(17.9%)、2位:「公務員」(11.9%)、3位:「薬剤師」(7.9%)…となっている。

 もっとも、親が子どもに就かせたい職業は、ここ20年ものあいだそれほど大きな変化はないが、筆者にはたいへん気になる点が一つある。それは、男の子と女の子とでは、ベスト20とベスト10の違いはあれど、「就きたい職業」「就かせたい職業」とも「教員」人気が急落していることだ。

 「教員」は子どもたちにとっても、もはや「なりたい職業」ではなくなってきているということ以上に、「親が就かせたい職業」ですらなくなってきていることから、長時間労働、パワハラ、教育格差(学力低下)、改革の遅れ…といったさまざまな問題が透けて見えるようで、憂慮に堪えない。

 とは言え、女子高校生の「なりたい職業ランキング」の2位は「教師・教員・大学教授」であり、「教員も公務員のうち」と解釈すれば、社会人間近の世代には人気職種の一つであり、「まだ大丈夫かな」という感覚もある。

地方出身者が東京で就職することの合理性とは

 一方で、同じ公務員志望でも、子どもたちの志望動機は10年以上前とはかなり変化しているのではないかと感じている(親のほうは相変わらずのようだが)。あくまでも実感値ではあるが、「地域・地元に貢献したい」「社会貢献できる仕事に就きたい」「親と一緒に暮らしたい」と考える学生が増えているように感じている。実際―本連載の第20回でも少し触れたが―「新卒で地銀に就職したが、仕事の中身に失望して数年で退職を決め、公務員試験合格を経て転職した」という例が増えているという。

 筆者が思うに、志望動機の変移は東日本大震災に起因するところが大だろう。そして、今般のコロナ禍である。筆者は、30年以上前に地方政令都市から東京に就職してきた口であるが、その当時は公務員になろうなどとは露ほどにも思っていなかった。だが、今の時代なら(職種を度外視すれば)地元就職は大ありだと思える。

 また、年収に関しては、公務員よりも民間のほうが高いと思われがちであるが(かつてはそうであったし、都会ほどその差は大きかった)、それは大企業に限ってのことである。

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