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コロナ騒動で需要急伸、空き家が注目を集めるワケ (1/2ページ)

吉田由紀子
吉田由紀子

 新型コロナウイルス感染拡大により、いま大きく需要が伸びているものがある。

 それは「空き家」だ。

 総務省統計局の2018年住宅・土地統計調査によると、全国の空き家は846万戸。2013年と比べ、26万戸も増加している。地方の過疎化や高齢化を背景に、年を追うごとに増えている空き家。そこに注目が集まっているのだ。

 なぜ需要が伸びているのだろうか?

 その理由を空き家の専門家である、空き家活用株式会社の代表取締役社長・和田貴充さんに取材をした。同社が運営する情報サイト「空き家活用Lab」は、コロナ騒動以後、閲覧数が急速に伸びているという。

 「新型コロナウイルスの感染拡大により、東京や大阪などに住む方が、過密都市の危険性を実感するようになったのが、第1の要因だと思います。今回の騒動でテレワークに移行した企業も多く、都心のオフィスは撤退が相次いでいる状態です。テレワークになれば通勤圏という制約がなくなり、企業は家賃や交通費の負担が大幅に削減されます。働く側も在宅で仕事をするとなれば、ワークスペースが必要です。その結果、都心から離れた場所で、土地が広くて環境が良く、ゆっくり過ごせる場所に住みたいという方が増えたのではないかと分析しています」(和田貴充さん、以下同)

 税金が重くのしかかるケースが増加

 「空き家活用Lab」には多彩なコンテンツが掲載されているが、閲覧数1位になったのが「0円で手に入る空き家」という記事である。空き家が増えすぎて、今や無料で譲渡する人も少なくないそうだ。この記事はライター氏の体験談をもとにしており、地方の空き家の現状を伝えている。以下が抜粋した内容だ。

 〈先日、岩手の祖母の家を無料で引き取ってもらいました。祖母はまだ存命ですが、施設に入っているため、家は長らく空き家状態でした。祖母が亡くなれば、途端に相続税が発生します。以前は相続税の物納として家と土地で納めることができましたが、財政難や過疎化、高齢化などにより、数年前から家や土地の物納は不可となりました。田舎の家なので庭や家は広く、最寄り駅からは車で25分もかかってしまいます。そのため、売りに出したとしても、なかなか買い手はつかないだろうと考えたのです〉

 以前は、空き家にかかる固定資産税には優遇制度があり、減免されていた。しかし2015年の「空き家対策特別措置法」の施行により、この制度が廃止され、放置しておくと税金が重くのしかかるケースが増えているのだ。

 〈相続税や固定資産税、家具などの処分費用、家屋の取り壊し代、更地の整備代だけでも、少なく見積もっても1000万円はかかるとのことでした。その結果、『無料でもいいから』引き取ってくれる人を探すことにしたのです。無料で譲渡すれば、とりあえず1000万ほどのお金が浮きます。あくまでも一例ではありますが、こういった事情で、地方では空き家を無料で譲渡したい人が結構いるのです〉

 無料までいかなくても、地方には安価の空き家が数多くある。移住や多拠点居住を考えている方には、今がチャンスかもしれない。

 とはいえ、空き家を購入する際には、十分な準備と注意が必要だ。

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