クルマ三昧

群雄割拠の“ドル箱”コンパクトSUV市場 トヨタの牙城は崩せるのか (2/2ページ)

木下隆之
木下隆之

トヨタの牙城を崩す有力候補は…

 トヨタの牙城は簡単には崩れそうもない。というのは、ヤリスの派生車種としてヤリス・クロスがデビューしたばかりだからだ。好調のヤリスをベースにクロスカントリー色を高めており、すでに販売計画を上回る受注を受けているという。近日中のランクインは確実なのだ。

 コンパクトSUVからミドルSUV市場に対象を広げても形勢は変わらない。ライバルである日産は、エクストレイルのモデルチェンジが11月に控えているものの、それまで現行モデルでしのぐしかない。ホンダ・ヴェゼルがフルモデルチェンジされればそれなりの台数が期待できる。とはいえ新型に切り替わるのは2021年の1月で、評価の高い三菱・アウトランダーとて、フルモデルチェンジは2021年の5月の予定である。それまではトヨタの一人勝ちなのだ。

 これまでコンパクトSUVの原稿を書くにあたって、「ドル箱のコンパクトSUV市場」などというフレーズを多用してきた。確かにそれは誤記ではなく、登録者ランキング上位をSUVが占めていることでも分かる。成長ジャンルでありメーカーにとっての“桃源郷“でもある。だが、そのオイシイ市場を独占しているのはトヨタなのである。その牙城をどのメーカーが崩すのか。今のところ有力な候補はいない。

木下隆之(きのした・たかゆき)
木下隆之(きのした・たかゆき) レーシングドライバー/自動車評論家
ブランドアドバイザー/ドライビングディレクター
東京都出身。明治学院大学卒業。出版社編集部勤務を経て独立。国内外のトップカテゴリーで優勝多数。スーパー耐久最多勝記録保持。ニュルブルクリンク24時間(ドイツ)日本人最高位、最多出場記録更新中。雑誌/Webで連載コラム多数。CM等のドライビングディレクター、イベントを企画するなどクリエイティブ業務多数。クルマ好きの青春を綴った「ジェイズな奴ら」(ネコ・バプリッシング)、経済書「豊田章男の人間力」(学研パブリッシング)等を上梓。日本カー・オブ・ザ・イヤー選考委員。日本自動車ジャーナリスト協会会員。

【クルマ三昧】はレーシングドライバーで自動車評論家の木下隆之さんが、最新のクルマ情報からモータースポーツまでクルマと社会を幅広く考察し、紹介する連載コラムです。更新は原則隔週金曜日。アーカイブはこちら。木下さんがSankeiBizで好評連載中のコラム【試乗スケッチ】こちらからどうぞ。

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