新鮮味あふれるディーゼル仕様
実際の数値を紹介しておくと、標準のQ3が全長4490mm、全幅1840mm、全高が1610mmであるのに対し、スポーツバックの全長はQ3より10mm長い。にもかからず、全高は45mmも低いのだ。ホイールベース、つまり前後の室内長に違いはなく、頭上空間と荷室に差がある。ターゲット層のライフスタイルを想像すると、まさに合点がいく。
ちなみに、搭載するエンジンは2種類。直列4気筒1.5リッターのガソリンターボと、直列4気筒1.5リッターのディーゼルターボがラインナップされた。ガソリンエンジンの最高出力が150psであり、最大トルクが250Nmなのに対してディーゼル仕様はさらに強力で、最高出力150psと最大トルク340Nmを絞り出す。ディーゼルの悪癖の一つであるガラガラ音や微振動は抑えられており、ガソリン仕様にはかなわないものの、不満のないパワーユニットのように思えた。
実はこのコンパクトSUVカテゴリーへのディーゼル投入は、ライバルメーカーを見渡してもアウディが初めてである。動力性能だけではなく、新鮮味と個性にあふれているという点でもディーゼル仕様の選択もありなのかもしれないと思った。
オシャレな世界観を得意とするアウディがドル箱市場に放った刺客は、はたしてターゲット層のハートを射抜くことができるのか。
【試乗スケッチ】は、レーシングドライバーで自動車評論家の木下隆之さんが、今話題の興味深いクルマを紹介する試乗コラムです。更新は原則隔週火曜日。アーカイブはこちら。木下さんがSankeiBizで好評連載中のコラム【クルマ三昧】はこちらからどうぞ。