ヘルスケア

新型コロナ感染拡大、宿泊療養施設の確保に自治体奔走

 新型コロナウイルスの感染が再び拡大する中、軽症者や無症状者が利用するホテルなどの「宿泊療養施設」が徐々に埋まりつつある。全国に先駆けて感染者が急増した札幌市では、当初想定していた施設に収容しきれなくなる事態が発生。軽症・無症状が多いとされる「第3波」では、医療機関の負担を減らすためにも宿泊療養施設の確保が不可欠だが、観光支援事業「Go To トラベル」も継続されており、自治体は不安を抱えつつ対応に奔走している。

 「急激に感染が拡大したため、施設の確保が追いつかなかった」。札幌市の繁華街ススキノを中心に感染者が拡大し、20日には304人と過去最多を更新した北海道の担当者は、こう打ち明けた。

 北海道では、感染者は医療機関への入院か宿泊施設の入所を原則としていたが、今月7日にはいずれにも入れなくなる自宅待機者が発生。11日には、札幌で無症状かつ基礎疾患を抱えていない1人暮らしの陽性者などを自宅療養とする方針転換を迫られた。

 道は当初、札幌市内に1施設670床を用意していたが、事態を受け20日までに3施設1270床にまで拡大した。ただ担当者は「感染者自体が減らない限り、自宅療養をなくすことはできないだろう」と厳しい見方を示す。

 17日に最多の49人の感染が確認された京都府は、現在2施設338床を確保した。重症化リスクの高い高齢者などに当初から限定して運用しており、19日時点で33人が利用している。「ここ数日の伸びならば早急に増やす必要はない」(担当者)として新たな施設の確保はしない方針だが「今後、感染者数がどう増減するかは誰にも分からない。専門家の意見を踏まえながら対応したい」と不安ものぞかせた。

 宿泊療養施設は医療機関の負担軽減に欠かせない。

 ホテルを活用した宿泊療養施設を3200室余り確保している東京都では、これまで陽性者は医療機関に入院するケースが目立っていたが、病床を空けるためホテルに移るよう促している。小池百合子知事は19日の記者会見で200人余りが病院からホテルに移ったことを明かし、「バッファー(緩衝)としてのホテルの活用が有効に機能し始めた」としている。

 高齢者や基礎疾患を抱える人がいる家庭内での感染を防ぐ意味でも重要な役割を担うが、開設には看護師などの人材確保に加え、ホテルなどだと予約客を他の施設へ回すなどの手間もかかる。

 民間の4つの宿泊施設と協定を結ぶ形をとっている長野県では、第3波に備えて2施設を追加する方針で準備。ただ、担当者は「早くても稼働まで3週間はかかる。すぐに準備できるものではない」と話す。

 「Go To トラベル」による宿泊施設の確保への影響を心配する声もある。有名な観光地では宿泊施設の稼働率が高くなっている施設もあり、ある自治体の関係者は「(Go Toなどによって)稼働率が高ければ、貸し出しの判断に影響を与えるのは一般的に考えられる話だ」と懸念を示した。(石原颯)

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