教育・子育て

脱ハンコで学校のデジタル化加速 保護者歓迎、情報漏洩や機器の整備に不安も (1/2ページ)

 【教育はいま】学校のデジタル化

 行政手続きの押印廃止を進める政府方針を踏まえ、文部科学省が先月、学校現場の保護者との連絡のデジタル化を求める通知を都道府県や全国の教育委員会に出した。国内では独自にデジタル化を進めている学校もあり、保護者を中心に歓迎の声があがる一方、「なりすまし」などの問題や、機器整備の課題を指摘する声もある。教育の現場は変わるのか。(地主明世)

 書類に毎日押印

 「保育園では欠席連絡も行事の通知もアプリ。小学校に上がったら紙に『戻る』なんて、不便でしかない」

 神戸市内で子供を認可保育園に通わせる女性(32)は、未来の小学校がデジタル化されていることを強く願う。

 菅義偉政権が政策目標として推進する「デジタル化」。河野太郎行政改革担当相は今月13日の記者会見で、行政手続きでのはんこ使用の99%超を廃止する方向に決定したと発表したが、現在、学校現場が保護者と交わす書類の多くは押印を求めている。小学3年の長女の連絡帳に毎日、確認印を押すという大阪市天王寺区の女性会社員(35)は、「学校は相談や連絡について連絡帳を使うよう求めるが、手間も時間もかかる。押印の省略だけでなく幅広いデジタル化につながってほしい」と話した。

 教職員の間でも、業務で押印する機会は多い。兵庫県内の公立小学校の校長は「教育委員会に提出する書類にも押印が必要なことが多く、1日に100回以上判を押している。簡略化してほしい」と打ち明けた。

 コロナ禍で真価 

 文科省の通知は、子供を介するため連絡ミスなどのトラブルが起きやすい学校現場と保護者のやりとりをよりスムーズにし、負担軽減を図るのがねらいだ。アンケートフォームのURLを保護者にメールで伝えることや、スマートフォンで児童生徒の遅刻や欠席を連絡できるシステムなども紹介されている。

 すでにデジタル化を進めている自治体や学校もある。横浜市立山内小学校は昨年6月から、紙のプリント配布を廃止。宿泊学習への参加の確認や進路調査といった保護者宛ての連絡はメールやインターネットのシステムを使っている。

 デジタル化の真価が発揮されたのは、新型コロナウイルスへの対応で学校現場が混乱した時期だった。状況が目まぐるしく変わる中にあっても、他校に比べて保護者との連絡はスムーズだったといい、佐藤正淳校長は「情報をスピード感をもって伝えることは家庭との信頼関係を築く上でも大切だ」と強調した。

 埼玉県戸田市では平成29年度から「学校だより」などもデジタル化。今年度からは全公立小学校がインターネットの欠席連絡に対応している。大阪市教委も今年7月から、市教委への一部提出書類では学校印を不要にした。

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