クルマ三昧

商用車タイヤにF1タイヤ並みの技術を投入 目から鱗のミシュランの思想とは (1/2ページ)

木下隆之
木下隆之

サーキットで待っていたマシンはミニバン

 ミシュランからの依頼で、サーキットに向かった。ヘルメットやレーシングスーツといったレーシングギア一式を持参していた。僕らレーシングドライバーがミシュランからの依頼でサーキットに向かうのだから、これはもう、高性能スポーツタイヤの評価テストか、レーシングタイヤの開発テストであるのが相場である。

 だがしかし、テスト内容は意外なものだった。なんとサーキットで待っていたマシンは、いや、マシンとは呼べないテスト車は、高性能スポーツカーなどではなくレーシングカーでもない、大きな図体のミニバン。登録車両ナンバーは「4」。商用車だった。

 評価テストタイヤは「アジリス3」。バンだけではなく、ライトトラックやキャンピングカーに装着可能な、無骨なタイヤだったから腰を抜かしかけたのである。

 商用車タイヤでサーキットテストする真意を担当者に問うと、至極真っ当な回答が返ってきた。

 「重心が高いバンでも、サーキット走行が可能なほどの走行安定性が必要なんです。重心高が高いバンだからこそ…と言えるかもしれませんね」

 ミシュランはフランスに籍を置く世界最大手(2019年)のタイヤメーカーである。日本のブリヂストンと売り上げ世界一を競っている。

 そんなミシュランが開発したタイヤの性能は素晴らしく、安定性や耐久性といったタイヤに欠かせない要件を高い次元で満たしている。モータースポーツへの参画も積極的で、F1タイヤの成功も経験済みであり、世界各地のサーキットで猛威をふるい続けている。

 「われわれミシュランは、モータースポーツタイヤと商用車タイヤを同一のベクトルで考えています」

 なんとも驚くべき言葉である。

 そう、アジリス3でサーキットテストするのは、そんな思想がベースにある。

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