運賃の10%をポイント還元
JR東日本は来年3月1日からSuicaを使って在来線の同一運賃区間(特定の駅間ではなく、運賃が同額の区間)に月10回乗った場合、乗車1回分の運賃分のポイントが還元されるサービスを開始すると発表した。また11回目以降は毎回、運賃の10%がポイント還元される。実質的に回数券を代替するサービスであり、今後の“脱切符化”に向けた一歩と言えるだろう。
また新幹線利用者についても、予約サイト「えきねっと」で乗車券・特急券を予約、購入時に利用するICカードを登録しておくと、ICカードでタッチするだけで改札を通過できる「新幹線eチケットサービス」を今年3月14日から開始している。今後は在来線特急にもサービスを拡大する方針といい、長距離利用者もICカードを利用する機会が増えるだろう。
そして残る紙の切符は、券面にQRコードを印字したQRコード乗車券に置き換わっていくことになりそうだ。QRコード乗車券は自動改札機に投入するのではなく、読み取り部にかざして使用する。そのため、IC専用改札機と同様に自動改札機の構造を大幅に簡略化でき、コストダウンにつながる上、券売機でなくとも切符を発行できるようになるというメリットがある。
鉄道各社はコロナ禍で大幅な赤字を計上し、今後の経営の在り方を模索している最中だ。持続可能な鉄道サービスの実現には、駅オペレーションの省力化とコストダウンは避けては通れない道である。今後、自動改札機をめぐる変化はますます加速していくことになるだろう。
【鉄道業界インサイド】は鉄道ライターの枝久保達也さんが鉄道業界の歩みや最新ニュース、問題点や将来の展望をビジネス視点から解説するコラムです。更新は原則第4木曜日。アーカイブはこちら