ヘルスケア

2020年よく売れた「炭酸ガス系入浴剤」 発汗、安眠、旅気分…自宅で風呂養生

 【近ごろ都に流行るもの】

 コロナ禍で暮れゆく今年のヒット商品のひとつが入浴剤だ。市場は昨年の440億円から490億円と大幅に拡大(花王の推計)。「密」になりそうな温泉やサウナを避けて、自宅のお風呂で発汗リフレッシュしたいニーズに応えた。温浴効果による血行促進で疲労回復、リモートワークの肩こりや腰痛、マスク肌荒れの改善も期待できる。ウイルスに対抗する免疫力アップの肝は、体を温めてぐっすり眠ること。日々の養生としても見直されている。(重松明子)

 お湯にポンと入れるとシュワー…。勢いよく泡が立ち上る。今年売れたのは炭酸ガスの血管拡張作用を利用した入浴剤だ。「医薬部外品」として、厚生労働省が許可した有効成分が一定濃度で配合され、効果をうたえる分かりやすさもあって、人気が広がった。

 常時130種類以上の入浴剤をそろえる渋谷ロフト(東京都渋谷区)で最も売れているのが、ドイツの温泉療法の泉質を再現したという中性重炭酸入浴剤「BARTH(バース)」(3回分990円)。大手コスメ情報サイトの今年のベスト入浴剤に選ばれるなど、発売3年で一気に知名度を上げた。重炭酸イオンが湯に溶け込んで入眠の準備を整え、肌に潤いを与え、毛穴汚れを取り除く作用もあるという。

 「価格は高めでも、機能性で入浴剤を選ぶ傾向が顕著になった。外出自粛のストレス、在宅勤務による運動不足、肩こりや腰痛など、コロナ禍に伴う不調が背景にありますね」とロフト広報の高橋祐衣さん。

 冬至(12月21日)直前の取材日は「ゆず湯」の入浴剤、クリスマスパッケージも並んで師走の季節感を演出。入浴グッズも豊富で、ぬらさずにお風呂で本が読めるブックカバー、湯船にかぶせて“プチサウナ”が楽しめるビニール傘など、アイデアがにぎやかだ。

 風呂好きな国民性もあり、日本で流通している入浴剤は3400種類を超える。そんな中でシェア1位を誇る花王の「バブ」は、昭和58年に発売された炭酸ガス系入浴剤の草分けだ。

 身近なスーパーや量販店で購入でき、昨年は家庭風呂約5億杯分を販売した。

 今年は入浴への関心の高まりに対応し、水道水の塩素を除去して素肌と同じ弱酸性の「いたわるお湯質」に変え、温浴効果を高めた改良タイプを8月に新発売。売り上げを前年(1~11月比較)から1割近く伸ばしている。

 「4、5月の緊急事態宣言下で需要が拡大し、秋、冬も引き続き好調が続いている」と花王広報部の武田葉子さん。例年は動きの鈍い春~夏も売れたのが今年ならでは。「コロナ禍で外出しにくい状況となり、桜の香りでお花見、森の香りで森林浴、熱帯植物の香りで海外旅行…など、入浴剤で旅気分を味わう気分転換需要も多かった」と振り返る。バブは現在45種類。12回分約400円の手ごろなものから、濃密美容液風呂が作れる高級ラインまで。色や香り、効用も幅広い。

 日本浴用剤工業会によると入浴剤は炭酸ガス系のほか、浴後の保温効果が高い無機塩類系、生薬成分が作用する薬用植物系、皮膚を清浄にする酵素系、保湿成分を配合したスキンケア系などがあり、目的に応じた効果的な活用を推奨している。

 就寝前は38~40度のぬるめの湯にゆっくりつかるのがよいが、リモート勤務中の気分転換などには、42~43度の熱い湯での短時間入浴が交感神経を刺激して活動的になれるという。

 中国の国立北京中医薬大で中国医学を学び、帰国後は日本人向けの健康指導を行っている漢方薬膳研究家、阪口珠未さんが、7月に発行した「体とこころの不調をなくす 365日のゆる養生」(エクスナレッジ)では入浴法も指南。

 お灸の原料にも使われ、体を温める効果が高いヨモギの風呂を楽しむには、ヨモギ茶のティーバッグを使えば簡単に薬湯が作れる。また、天然の抗菌性を持つ樹木、ヒバのオイルを風呂に数滴入れることでアトピーや肌荒れを緩和させるなど、日々手軽に実践できる風呂養生を伝授している。

 ステイホームで迎える正月休み。浴室でコロナ厄をすすぎ落とし、自宅湯治で不調快癒。免疫力アップに努めるのが、一国民としてできることであろう。

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