受験指導の現場から

中学受験に備え「1月は学校を休む」風潮ってどうなの? 意表を突かれた親の一言 (2/2ページ)

吉田克己
吉田克己

欠席を勧める塾に耳を貸してはいけない

 受験直前期に学校を休ませるべきかどうかについては、「これが正解!」といったものはないだろう。子どもの意思を尊重しつつも、本人の性格や生活上の癖、家族構成や両親の就業状況など、個々の家庭の事情を踏まえて、総合的に判断するしかなさそうだ。

 ただし、筆者の経験からすると、高校受験する中3生に学校を休ませても、おそらくろくなことはない。あくまでも、中学受験をする小6生に限った話と受け止めてほしい。

 さらには、少しでも合格実績を伸ばそうと、「学校は休んで受験勉強に集中したほうが…」などと持ち掛けるような塾があったとしたら、一切耳を貸さないほうがいい(そんな塾は業界から退場願いたい)。

「方針転換」はできるようにしておく

 では、何週間も学校を休んで受験勉強に集中することが(集中できれば、であるが)、プラスになるのか、それとも、却ってマイナスにはたらいてしまうのか?

 普遍的な答えはなさそうだが、子どもの考えを尊重しつつも言いなりにはならず、しっかりと意思確認をし、親子のあいだで方針や目的をしっかり共有した上で、新学期を迎えたいところである。できれば、方針転換はできるようにしておけるのが理想的だろう。例えば、「月初から休ませたが、リズムを掴めないので、学校へは行かせることにする」とか、「第二志望には受かったので、気晴らしのためにも、本命校の直前2日間以外は学校に行かせることにした」といった具合だ。

 個人的には、朝はいつもと同じように学校へ行って、給食の時間が終わったら受験生は下校してもよい(事前申告制で)、といったかたちがとれると、各方面とも対応がとりやすいのではないかと、拙考する次第である。

京都大学工学部卒。株式会社リクルートを経て2002年3月に独立。産業能率大学通信講座「『週刊ダイヤモンド』でビジネストレンドを読む」(小論文)講師、近畿大学工学部非常勤講師。日頃は小~高校生の受験指導(理数系科目)に携わっている。「ダイヤモンド・オンライン」でも記事の企画編集・執筆に携わるほか、各種活字メディアの編集・制作ディレクターを務める。編・著書に『三国志で学ぶランチェスターの法則』『シェールガス革命とは何か』『元素変換現代版<錬金術>のフロンティア』ほか。

受験指導の現場から】は、吉田克己さんが日々受験を志す生徒に接している現場実感に照らし、教育に関する様々な情報をお届けする連載コラムです。受験生予備軍をもつ家庭を応援します。更新は原則第1水曜日。アーカイブはこちら

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